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STORY

現実の旅インド【その7】

“まさか”とは、
予期しない緊急の事態にあること。とも記されている。

今回の旅では、前回の旅で依頼を受けたフランス人デザイナーとのミーティングと納品もミッションのひとつだった。ジャイプールにいながらセレブ感!? 漂うホテルの敷地内にある彼のアトリエショップを訪ねた。ミュグレー、ジバンシイ、ガリアーノを経てジャイプールという興味深い経歴の彼。
到着すると直ぐに、次のコレクション用の生地をアシスタントにカットさせたかと思うと、納品した4Face Tieを褒めちぎり、結んでくれといい出した。俺はネクタイの結び方が分からないんだ!と言いながら、アトリエの中を行ったり来たりしている。

結び終わったいくつかの4Face tieを自身のメンズコレクションのマネキンにつけては眺め、これはOK!これは、うーむという顔をしながらコーディネートを吟味している。
カットされた生地を手渡されミーティングスタート。組み合わせる生地柄はこんな感じがいい、などいくつかのリクエストを聞きながらミーティングはほどなく終了。

レディースメインのブランドで、パリでは定期的に展示会をやっているらしいので興味のある方は、InstagramでIDLI design,Jaipur(@idlidesign)をチェックしてみてほしい。

こちらがIDLI designのThierry Journoさん

仕事がひと段落して、ほっとしたところでホテル敷地内のカフェでオーダーしたソーダ水。大量のミントとライムが入っていて見た目の清涼感が、とてもインドとは思えないほど洗練されていた。そうこのカフェ、昼間はインスタ映えするカフェで有名らしい。。。
イタリアから大量に持ち帰った葉巻トスカネッロをプカプカしながら、夕暮れの静かなテラスでまったりとした時間を楽しんだ。

2回目のインドも大したトラブルも無く、有意義な時間だったなあー。インドの生地を通して色んな人と出会い、異国の文化を感じたいという欲求も充分に満たされた。再訪する9月のことをぼんやりと考えながら、ソーダ水のミントとライムをストローで突きながら、今更ながらグラスの氷を発見しギョッとした。やってしまったかも、、、

そしてホテルに戻り、パッキングを済ませ、明日の成田までの帰路をシュミレーションしてみた。ジャイプール発デリーでの数時間トランジット成田行き、難関はデリー空港でのターミナル移動、シャトルバスのチケット売場の場所はどこだったか?満席で混み合うシャトルバスに大量の荷物があるのに立ちっぱなしで20分程揺られるのか?深夜のデリーの空港での数時間は何をしようか?ベッドに寝そべろうとしたその時。

“まさか”が起こった。いや “うっかり”だった。やっぱりあの氷にやられてしまった。。。
持参した正露丸を飲み込み、ポカリスエットの粉末をペットボトルの水で溶かしながら、トイレとベッドを何往復したことだろう。

“うっかり”とは
心をひかれて他に注意の向かないさま。とも記されている。

修行は続く。


腹痛と戦った翌朝、庭先で癒される。。。

<草野さんの「現実の旅インド」、これまでの記事>
現実の旅インド【その1】
現実の旅インド【その2】
現実の旅インド【その3】
現実の旅インド【その4】
現実の旅インド【その5】
・現実の旅インド【その6】
<インドへの旅、そのきっかけは?>
妄想から現実の旅インドへ1
妄想から現実の旅インドへ2
妄想から現実の旅インドへ3
妄想から現実の旅インドへ4
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。