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STORY

これは、デジャヴか?

ミリタリーショップで目に留まったラバーコーティングのパーカとオーバーパンツ。

すでにラバーが硬化してガチガチなスルメのような状態。
見るからに作業用の防水スーツ。



フロントフルジッパーで、パッチポケットにはフラップ付き、入り口はフラップの折り返しと一体化して水の侵入を防ぐ仕様。フードにはひさしとアジャスターが付いている。

袖口のアジャスターはベルクロ仕様。ラバー素材特有の切りっぱなしのパーツがフード前のチンガード、袖口のアジャスター、フロントジッパーからの水の侵入を防ぐ比翼部分に見られた。




機能性を追求したシンプルなデザインとは、こういうモノを言うんだろなあ。
すでに、脇部分の当て布や縫い目部分のテープはほぼ破損している。状態はCランク、スルメ状態のガチガチでは着る事も無いと思いながらも、無駄の無いディテールと全体のフォルムにヤられた。

パターン(型紙)だけは抜いておこう。KFなら素材は? 裏地は? と考えながらレジでお支払いを済ませた。

帰り道、ハッと思いだした。
20代の頃に買ったEA(エンポリオ アルマーニ)のパーカ。記憶を慎重にたどりながらディテールを思いだす。細部に至るまで完璧にコピーされていた。コレがモチーフだったのか、、、。

そのパーカは表素材がソフトラバーで裏に綿素材がボンディングされていた。表がグレーで裏がネイビー。
そうそう、イギリス語学遊学中に活躍したんだよ。。。雨の日もフードを被れば傘要らずだった。
帰国後、しばらく着ないうちにクローゼットの中でラバーがベトベトに軟化? し袖と身頃がピッタリと張り付いたまま、無惨な姿で最期を迎えた。

EAの元ネタUS Armyに巡りあってKFのフィルターを通して、どんなパーカに仕上げようか?
スルメのような噛めば噛むほどの味わい深さは必要だけど、着込んだ先がガチガチやベトベトな最期にだけはしたくない。

90年代初頭のデジャヴ。
これは、何かのお告げだな。笑
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。