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STORY

Field Jacket


アメリカンニューシネマの出現には様々な要因があると書かれている。大手映画会社の独占的システムの崩壊によるインディペンデントな映画会社の台頭、出口の見えない戦争に対しての政治的表現の自由、人種差別や権力への反感、経済的不安定などに対するやり場の無い人々の心情を映し出していて、これまでの大衆娯楽とは程遠い奥深いメッセージが込められていたようだ。

代表的な作品群は、世相を反映し体制に対する憤りや揺れる心情を映し出しており、若い世代にも支持されていたらしい。

アメリカンニューシネマは1930年代生まれの監督が多く、戦前戦後を経験し40代前後で撮影を行った事も興味深い。
豊かで強い国と言われた時代から、変貌していく国への想い、体制や全体主義から個人主義、個人の自由を模索し始める時代性を助長していたのかもしれない。

映画の中の衣装については、60年代後半から70年代後半までが題材の場合は、比較的同じようなスタイル*が継続していた期間なので、別の時代の服を作る必要はなかっただろう。60年代前半がテーマであっても町のメンズショップに行けば、まだ売られていたアイテムが衣装として成立した可能性もある。
ミリタリーアイテムであれば、払い下げ品*が至る所で販売されていただろう。既製品が役者さんの体型に合わない場合は作るしか無いだろうが。。
いずれにしろ、リアルな時代感の演出に予算をかける事なく撮影を進める事が出来ていたとしたら、潤沢な予算がなかった映画会社にとっては幸運だったかもしれない。

*シャツの襟がやや大きく、トラウザーの裾はややフレア、ジャケットのラペルは広く、ウエストはシェイプされている
*払い下げ品とは、軍企画品の不要になったモノを民間に販売する事。

アメリカンニューシネマが今でも語り継がれる(当時は酷評され、興行収入の低い作品もあった)のは、真に伝えたい想いが最大限に表現され、その時代性を時には過激に時には深く映し出していたからだろう。


今回作製させていただいたジャケットには、弊社がリリースしているV6P とCG Jacketに続き、WAR IS OVER というメッセージを添えました。

ファッションは自由で楽しいものですが、その自由と思える土壌は過去から現在にかけての歴史の上に成り立っていると考えています。

“過去こそ未来を映し出す鏡”

2022年、現在も終わりの見えない戦争や隣国の兵器や法による威嚇や圧力、歴史的な惨事は無念でしかない。
過去を振り返りアメリカンニューシネマという作品群を通してこのジャケットを作る事、メッセージを添える事に意義を感じています。

表地にコットンリバースサテン、裏地に平織のコットンベンタイルを使用したFIELD JACKET。
是非店頭にてご覧ください。

#peace


KENNETH FIELD×ARCH M-65 FILED JACKET
https://archstyle.tv/blog/jacket/item-info76165.html
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。