ジョン・カサヴェテス『こわれゆく女』('74)『ラブ ストリームス』('84)二本立て。早稲田松竹にて。ジーナ・ローランズの脚はカッコいい。別に僕は脚フェチでもなんでもないけど。ハイヒールから伸びる脚が彼女のスタイルをすべて物語っている。スタイルとは勿論、ダイアナ・ヴリーランドの言う「それ」であって、見た目(体型)の話ではない。『ナイト オン ザ プラネット』の頃は60才を過ぎてるはずなんだけど、やっぱりハイヒールの爪先まで女優だった。〈2013.8.28〉
トニー・リチャードソン『マドモアゼル』(1966)
こんなジャンヌ・モロー観たことない。『死刑台のエレベーター』よりスキャンダラスで、『突然炎のごとく』より苛烈で、『小間使いの日記』より秘密的で、『黒衣の花嫁』よりも悲しいジャンヌ。映画史に残る悪女を演じきっている。悪女というか極悪、というか邪悪、というか(むしろ)純粋。最後に少年が吐いたツバ。それだけが唯一の救い。そんな映画。そういえば全編通して音楽がまったく流れなかった。〈2012.12,19〉
『Girl/ガール』(2018)バレリーナを目指す15歳の主人公ララはトランスジェンダー。父親の優しさへの気遣いや幼い弟への責任感、つまり彼自身の「社会性の高さ」故か、カミングアウトしながらも自分を押し殺しながら生きている。実際のところでは誰にも分かってもらえない、と。しかし、抱えている問題(その大小問わず)が何であれ、すべての人間にとって「本当の自分を100%分かってくれる他人」など、(血の繋がった親ですら)存在しない。劇中、彼は何度も回る。足の爪が血のしぶきをあげようと、バレリーナの動きで何度も、何度でも。回る、回る、回る。つまづいても、また、回る。精神の不安を肉体の痛みで吹き飛ばそうとするかのように。ふと思う。僕は彼で、彼は僕だ!この戦う人間の姿を、性差だけ理由にして「可愛そうではあるけれど、あれは自分とはベツモノ」と斜め上から目線で断じた瞬間に、すべての表現は動きを止める。むかし、北野武はたしか「痛みを伴うシーンはできるだけ観ている側にも痛さが伝わるように撮る」と言っていた。『Girl/ガール』はよもや、純然たるアクション映画ではあるまいか?〈2019.7.22〉
北野武『アキレスと亀』(2008)
(自分には)美術しかできない、とかバスケしかできない、とか映画しかできない、とかファッションしかできない、とか。それしかできないのに、その才能すら無い、とか。それでも人は生きていくしかない、とか。
亀はアキレスに追いついた、のか?〈2017.4.26〉
なんだかんだでvol.3まで公開してしまった。周りの評判は今のところ「すごく面白かった」×2人のみ。続けていいんだかどーだか、不安しかないくせに、変なところで僕はヌケヌケとポジティブなので、厚顔無恥、更に厚塗りを続けるという。残念なことに、書き留めたストックはまだまだまだまだあるので、あと数回はお付き合い頂くことになるやもしれません。














