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STORY

自己流開襟シャツ

夏になると、開襟シャツ。普段からネクタイをすることが多い僕は襟元がオープンになるだけで、体感気温が3℃は下がったような気になる。最近のお気に入りはHartfordのオープンカラーシャツ。80後半~90年代モノ?古着で3500円くらいだった。フレンチアイビー世代の方には綺麗な色目のB.Dシャツでお馴染みのブランドだろうか。

僕の愛用品は両胸にフラップポケットが付いたもの。シルク100%、フランス製。レーヨン素材にはない微妙なピンクベージュ色や狭めのVゾーン、たっぷりとしたシルエット、豊かなドレープがアメリカンなイメージが強いオープンカラーシャツというアイテムに、そこはかとないエレガンスを与えている。

極薄のシェルボタンやコバギリギリのステッチも屈強なアメリカものには無い繊細な印象で僕好み。7つあるボタンホールは全て横向きに切ってある。以前に書いた、若き日のミシェル・ルグランなんかがさらっと着ていたら、さぞ格好良いであろう「アメリカかぶれのフランス人」タッチ。

 一方でアメリカもの。写真は偶然二枚とも(50'sと60'sの)Towncraft製。写真下のものは襟先がラウンド気味になっていて、お気に入り。ミントグリーンのチェック生地は耳付きのDan River。ブランドタグの下に生地屋のネームが縫い付けてあるアメリカ感は、後に続く日本のセレクトショップオリジナル製品にも影響を与えているんだろうか。アメリカのシャツはあえてぴったり目のジャストサイズを選ぶのが僕のスタイル。で、太いパンツを合わせたり、最近はフレアパンツを合わせたり…という気分。

とか言って、あんまりオープンカラーシャツについて語り過ぎると真性の「アブサン」が出てきてしまうので、この辺で筆を置くことにする…(笑)。蛇足だが、オープンカラーシャツほど、首もとのVからチラリと見える(もしくは、見せないという選択肢も含め)インナーに気を使う服はない。

Satoshi Tsuruta

NEJI Organizer鶴田 啓

1978年生まれ。熊本県出身。10歳の頃に初めて買ったLevi'sをきっかけにしてファッションに興味を持ち始める。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻に興味を持てず、アルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを本格的に決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆などを16年間にわたり手がける。2021年、22年間勤めたビームスを退社。2023年フリーランスとして独立、企画室「NEJI」の主宰として執筆や商品企画、スタイリング/ディレクション、コピーライティングなど多岐にわたる活動を続けている。同年、自身によるブランド「DEAD KENNEDYS CLOTHING」を始動。また、クラウドファンディングで展開するファッションプロジェクト「27」ではコンセプトブックのライティングを担当し、森山大道やサラ・ムーンら世界的アーティストの作品にテキストを加えている。