
例えばパリやニューヨークのフリーマーケットを散策した時、偶然1800年代に作られた手吹きガラスのヴィンテージランプと出会ったとします。昔のNHKで放送していた「大草原の小さな家」でお父さんが納屋で使っていそうなそんなクラシックなオイルランプ。これを日本に持ち帰って、静かな夜、海辺のバンガローであかりを灯しながら一杯飲んだら素敵だろうなーなんて思うことってありますよね。ボクも10年前、ニューヨークの26丁目のフリーマーケットで素敵なガラスランプを買い、割らない様に手荷物で持ち帰った思い出があります。そして帰国後、お楽しみの点灯式です。ボクは教えられた通りにランプ用のオイルを入れ布の芯に点火しました。しかし結果は黒煙、すすが出るばかりできれいに着火しないし使いこなせません。多分布芯とオイルの浸透圧の加減とか、空気バルブの加減とか100年前のアンバイを今の燃料で調整するのはシロウトには厳しく危険と思われました。100年骨董の実用には並外れた愛と知識が必要だった訳です。100年骨董にはロマンとともに不便もついて来てしまうんですよね。
さて、前フリはこのくらいで、今回の Amvai デニムパンツ、100年前のフォルム、そしてディテールを備えながらも穿き心地、使い勝手バツグンなんです。不便は全て取り除いてあります。なので着用しても黒いすすは出ませんし、事前のメンテ、調整も要りません。そしてちゃんと今を感じるフォルムにモディファイしてあるんです・・・。
また、このAmvai デニムパンツを言い当てた言葉で「ヌケ感」って表現があるんです。最近雑誌等で目にしますよね。何となく使ってますけどどんな意味なのでしょうか?ボクはこう解釈します。
「その服のデザイナーがこんな感じで着てね・・。と言う意図を理解しながらも、その着用者は自分ならではの「着こなし技」を随所に入れこんでいる様。」例えば、あえて1サイズ大きめを選び、あえてウエストの高めの位置で穿いてみたり、絶妙なくるぶしの見えっぷりのロールアップ寸にこだわったり、段差のあるレイヤードでサイズや色合わせを研究したり・・・。言われるがままの教科書通りな着こなしや同じ様な嗜好の仲間から一歩先を行く「馬群からヌケた」独自のスタイリングを目指している行い、 コレだと思うんです。
その点、今回の Amvai デニムパンツ、そんなヌケ感演出のコンテンツ満載なんです。フツーのテーパードスラックスに見えますよね?ところが至る所に個性を発揮出来る仕掛けが隠れているんです。ではルックを見ながらご説明させていただきます。

撮影当日はパンツ製作に当たったボクと英介さんが自分のイメージでコーディネイトしました。ボクならこう穿くな・・的な感じです。また女性スタッフにも着用いただきました。体のサイズがまちまちですが1本のパンツを穿き回しているんです。さほど違和感ないですよね? それはなぜかというと1つは深ーい股上寸にあるんです。1800年代のワークスラックスにはベルトループが無い事が多くサスペンダーで吊ってました。なので股上もあばら骨の下くらいまである勢いです。なので思いっきり落して穿くとサルエルパンツのようになり、ジャストで穿けばヴィンテージスラックスになるんです。チャップリンはサスペンダーで正しい位置で穿いている感じ、ボクは思いっきり下げて穿いています。英介さんはちょい下げでロールアップしてますね・・・・。続く。



今回のコーディネイトはスロウガン2017秋冬最新アイテムを使用いたしました。中に着たニットは綿とウールを撚り合せた別注糸で肌障りもよく気持ちいい着心地です。サイズもややゆったりめの設定です。ゆったりした Amvai デニムパンツと良いバランスだと思います。さらにその上にはガウンの様に軽く羽織るイメージのチェスターガウンコートを合わせました。全体のバランスのせいか大人のフランス調な雰囲気にまとまっていると思います。と言いながらハズシで80年代銀箱コンバースのグリーンを穿いて退屈なモノトーンな人にならない様工夫いたしました。身長172cm。Lサイズ着用。
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