たとえば裏地。普通ジーンズの腰帯の裏に裏地は付いていないが、ヘビーオンスのデニムを使うこちらの場合、やはり肌触りの良い裏地を使ったほうが、フィット感はいいだろう。サンプルはスラックスに使われるような化繊なのだが、デニムの生産工程においては非常に縫いにくいことが判明。そこでスレキ用に使われているコットン生地を配することに決定した。
たとえばセルビッジ。よりシンプルに見せるために写真の「赤耳」ではなく、手前の生地スワッチのように色の入っていないものに変更した。ちなみにこちらはいわゆる「片耳」仕様になる。
以上のようなディスカッションを経て、さらにアップデートされる形になるが、あがってきたサンプルは、僕の期待のさらに上をいくものだった。ディテール写真を見るだけでも一目瞭然でしょう? 白ごはんにたとえるならば、無農薬の魚沼産コシヒカリを土鍋に入れて職人が丹念に炭火で炊いたような感じだろうか。食に造詣が深くないもので、たとえ方に奥行きがなくてスマン!
今まで腐るほど見てきた復刻ジーンズにも、デザイナーズのジーンズにも全く負けていない。というか、相手にならないかもしれない・・・。いつかこのレベルの生地を使ったデニムが世に流通することもなるのかな?なんて想像してみたが、どうやらこの生地の価格は上質なカシミア100%ものに匹敵するらしい。そうなると現在のメゾンブランドがこれをつくったら10万円どころか、20万円を超えるものになってしまいもはや商売にならないわけで、絶対にできるはずがないのだ。
いわば大量消費社会の枠外に存在するこのジーンズを皆さんにご紹介できるのが、今から楽しみでならない。
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