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Amvai Denim P001EM

考察。究極の白ご飯的デニムとは?- ジーンズ追跡 Episode 7

「究極の素うどん or 白ごはん」って、どんなものだろう?

ひとつ、それはおかずを選ばない。
ふたつ、それはおかずの美味しさを引き立てる。
みっつ、それはおかずなしでも美味しい・・・。

 だとすると、「究極の素うどん or 白ごはん」的ジーンズとは、どんな洋服にも合い、その着こなしを引き立て、それ自体に嗜好品的魅力がある・・・ということになるのだろう。

その場合、いわゆる5ポケット復刻系ジーンズというものは、もしかしたら適当ではないのかもしれない。だって何にでも合うと言われているけれど、突き詰めると意外と着こなしや体型を選んでしまうし、そのシルエットやディテールの追求の先には、なにか「魔物」が潜んでいるような気もする。

う〜ん、ならばいったいどんなジーンズがいいのだろう?

その悩みを解決してくれたのが、小林さんが所有する1800年代後半のフレンチワークパンツだった。5ポケットのデザインが世に出る前、おそらく街のテーラーで仕立てられたのであろうスラックス型のそれは、股上はやや深めで、太くもなく細くもない、中庸を極めたシルエット。肉厚なコーデュロイも相まって、はいてもきれいな形が決して崩れない。しかもウエストまであげてはくと、いわゆるスラックス的な品のよい雰囲気だし、腰ばきすればなんだかサルエルパンツのような、少しレトロモダンな見え方になってくる。

このシルエットやデザインと究極のデニムを融合させれば、冒頭の条件をすべて満たすジーンズが完成するのではないか? そう、たとえばアットリーニジャケットにもプラダニットにもブルックスボタンダウンにもラコステポロシャツにも合わせられて、しかもそれらの魅力を引き立てるような・・・。

こんな風にしてデザインのベースは決まったが、やはりなんだかんだいって100年以上前のオーダー品なわけで、実際に製品化する上ではディテールは現代的にアレンジしなくてはならない。これらに関しては僕の漠然としたイメージを伝え、小林さんにアレンジしていただく形になったが、結局ディテールにおいても、やはりAMVARの皆さんの知識と慧眼に助けられることばかりだった。その全貌はまだ明かすことはできないが、あがってきたファーストサンプルのディテールを特別にちょっとだけご紹介したい!

 たとえばベルトループ。昔のパンツは総じてサスペンダーで吊る仕様だったが、やはり現代ではそれだけじゃ不十分。そこでベルトループとバックのアジャスタを併用する形で、クラシック感を損なわず現代的な着こなしに対応する形にアレンジした。バックのアジャスタひとつまでこだわっている点にも、注目してほしい。



たとえばボタン。これは100年前のデニム生地に敬意を表して、小林さんのレア物ネットワークの仲間がパリで掘りおこしたヴィンテージメタルボタンを採用している。こちらも約100年前のものだけに、その相性は抜群だ。ちなみにボタンに刻印されている文字は何パターンかあり、不揃いであることはご了承いただきたい。個人的にはそれがなんとも味わい深いと思っているが、いかがだろう?



たとえば裏地。普通ジーンズの腰帯の裏に裏地は付いていないが、ヘビーオンスのデニムを使うこちらの場合、やはり肌触りの良い裏地を使ったほうが、フィット感はいいだろう。サンプルはスラックスに使われるような化繊なのだが、デニムの生産工程においては非常に縫いにくいことが判明。そこでスレキ用に使われているコットン生地を配することに決定した。



 たとえばセルビッジ。よりシンプルに見せるために写真の「赤耳」ではなく、手前の生地スワッチのように色の入っていないものに変更した。ちなみにこちらはいわゆる「片耳」仕様になる。



以上のようなディスカッションを経て、さらにアップデートされる形になるが、あがってきたサンプルは、僕の期待のさらに上をいくものだった。ディテール写真を見るだけでも一目瞭然でしょう? 白ごはんにたとえるならば、無農薬の魚沼産コシヒカリを土鍋に入れて職人が丹念に炭火で炊いたような感じだろうか。食に造詣が深くないもので、たとえ方に奥行きがなくてスマン!

今まで腐るほど見てきた復刻ジーンズにも、デザイナーズのジーンズにも全く負けていない。というか、相手にならないかもしれない・・・。いつかこのレベルの生地を使ったデニムが世に流通することもなるのかな?なんて想像してみたが、どうやらこの生地の価格は上質なカシミア100%ものに匹敵するらしい。そうなると現在のメゾンブランドがこれをつくったら10万円どころか、20万円を超えるものになってしまいもはや商売にならないわけで、絶対にできるはずがないのだ。

いわば大量消費社会の枠外に存在するこのジーンズを皆さんにご紹介できるのが、今から楽しみでならない。

※これまでの Episode は、こちらでご覧いただけます。

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Amvai.com Amvai Denim P001EM

¥58,000(税別)

100本限定。Slowgun 小林学氏とファッションエディター 山下英介氏により、徳島県の無形文化財・阿波正藍染のデニムを、ユーロワークパンツスタイルに仕立てた純日本製のデニムパンツ。