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STORY

コーディネートを楽しむために。All Night Beams+での金子さんとの対談

ビームスの人気ブログ「All Night Beams+」に草野さんが登場し、<KENNETH FIELD>の定番であるグルカトラウザーについてや、京都暮らしについて、ホストであるビームスプラスのバイヤー・金子 茂さんと対談しました。Amvaiでも許可を得て、この対談記事を掲載します。

コーディネートを楽しむために。


今週のゲストは<KENNETH FIELD> 草野氏に出演いただき、生の声をお届けさせていただきます。
気になる『グルカ』についてお話を伺ってみます。

金子「グルカはブランドの顔となっています。ブランド当初からリリースされたきっかけを教えて下さい。誕生秘話などあればお伺いしたいです。」

草野「前職の時にニューヨーク の展示会場で見かけた何処かのブランドのセールスマンが、ラムスェードのシャツをタックインしてグルカトラウザーを穿いていて、渋いなあ、カッコいいなあと思った事を覚えています。それ以来、ずっと気になっていたアイテムの一つでしたね。
それでブランドをスタートするにあたって、グルカについて色々と考えたんですよ。べルトを使わないトラウザーなら靴選びを悩む必要がないかな?例えば、夏にホワイトスウェードの靴を履きたいと思うと、白いベルトや革編みのベルトが必要なんじゃないかとか、普通に履いているキャンバススニーカーに合わせるベルトの素材は?なんて事を真面目に悩んでみたりね(笑)。
あとは、ダブルモンクのバックルストラップとグルカのバックルストラップってかなり強めのディテールだけど、合わせてみたらしっくりくるんじゃないか?とか、出張の荷物をコンパクトにする為にもベルト要らないし、スーツの下がグルカならシューズはスニーカーでもレザーシューズでもコーディネートに悩む必要なくインナーだけ変えれば楽なんじゃないか?そんな事を考えた結果が<KENNETH FIELD>のグルカだったんです。」

金子「草野さんらしいまさにシューズを選ばず、コーディネートを楽しむ発想から誕生したパンツということですね。<KENNETH FIELD>のグルカのデザインポイントを教えて下さい。」

草野「スポーツコートに合わせて着用しても違和感が少ない、目に優しいシルエット、でしょうか……。股上が深すぎても、ワタリが太すぎても難しいんですよね。特にオリジナルグルカを穿いてみると判るんですが、タックインすることが前提のトラウザーなので、ウエストバンドがかなり主張するんですよ。腹巻みたいに見える(笑)。
でも上に合わせるジャケットはウエストがシェイプ出来る、最初からウエストがシェイプされているサファリジャケットのようなモノだったはずなので全体のバランスが成立するんだけど、3ボタンでシェイプの少ないスポーツコートにはちょっとバランス的にはキツイでしょ?
英国オリジナルの良さはあるとしても、自分が理想としていたコーディネートした時のバランスの良さとは違ったので、そういう部分を調整しながら、いかに控えめな印象になるかが肝だったんですよ。当初は。そうじゃなくてもグルカってだけで十分にインパクトはあるし……。」

金子「グルカはインパクトありますよね。私はウエスト部分がグルカですが、テーパードが効いたチノトラウザーというイメージで履いているので、どんなスタイルにも合わせられるデザインが好みです。最近リリースされているワイドシルエットも好評ですよ!因みに所有されていてデザインベースにしたりお気に入りのグルカのアーカイブモデルはございますか?」

草野「何本も無いですが、一応このあたりのアーカイブを考察して作っていただきました。写真はあえてみせませんよ。皆さん想像したり、googleで検索してみてください(笑)。お気に入りのグルカは、
<UK military>
オリジナルグルカです。通称ブリティッシュカーキという色があるように独特のベージュなんです。バックポケットの玉縁を内側で補強する縫製仕様も面白かったけど採用しませんでした。
<Banana Republic>
オリジナルグルカを比較的忠実にコピーした感じです。金具のバックルを取り外し出来る仕様も同じです。アメリカのブランドがイギリスの租借地だった頃の香港で作らせているんですよ。
<Bills Khakis>
トラウザー専業ブランドだからなのか?ウエストの後ろが割れているウエスト詰めが可能なドレストラウザーの仕様なんです。元々はウール系のドレストラウザーを縫製していた工場で作っていたのかもしれませんね。
<Old Town>
ウエストのバックルアジャスターが右側だけに付いている簡素化されたディテールとアイリッシュリネンの素材感が特徴的なグルカです。」

金子「ここで<KENNETH FIELD>のグルカについて、東京在住ペンネームフォレストさんからの質問がきておりますのでご紹介させていただきます。草野さんが刺激を受けたグルカのスタイリングはございますか?こちらいかがですか?」

以前の記事「妄想から現実の旅インドへ③」より。画面右端の人物に注目!

草野「この写真は、ブログ Amvaiでも掲載させていただいたものなんですけど、Henri Cartier Bresson、Photographsで1947年にインドで撮影された写真です。
この躍動感溢れる写真をよく見てみるとグルカショーツを穿いている人がいるんです。これを発見した時は興奮しました!これファッションじゃないんだけど、カッコいいでしょ?みんなで何かの運動してるんだけど、軍パンで草野球するみたいな、そんなカッコ良さを感じるんですよ。」

金子「当時日常着にミリタリーウエアを何気なく着ている姿は、その時代のリアリティーを感じることができるのでこういう写真は私も好きですね。いつも参考にしています。
続いてご紹介させていただく大阪在住ペンネーム鍋の妖精さんからの質問です。草野さんがグルカをカットオフされているスタイリングを見まして格好良かったです!カットオフして履かれた理由を教えて下さい。」


草野「グルカトラウザーのワイドを自分で履いてみたら、裾が自転車のチェーンで油まみれになってしまい、これはカットするしかないなあ、と思いつきカットオフしました。」

金子「まさに偶然の産物ですね!」

草野「あとこのグルカショーツは単純に裾をカットした雑な感じで、丈が少し短くてもバランスがとれるのか?試す意味も含めてカットしました。結果悪くない!チノパン(ウエストポイントツイル)のカットオフした後のフリンジの感じはサマになるんですよね。退役軍人のじいさんが昔履いていたチノパンを夏になったらカットしちゃった感じ、かなりの妄想ですが、分かりますかね?カフがあるとバミューダっぽいシルエットでスッキリ見えて、それはそれでカッコいいんですよ。」

金子「このカットオフしたフリンジの感じが男臭くてまたいいですね。草野さんはカットオフが好きだという噂を耳にしましたが……その真相は?」

草野「カットオフ好きですね(笑笑)。スウェットシャツを半袖でカットする感じとかもいいなあって思う。なんなんでしょうね……昔見ていたRRLの広告やスタイリング、ウィンドウディスプレイに結構影響を受けているのかもしれません。」

金子「グルカの話とは別に草野さんがやられているインスタグラムについて質問が多く寄せられているので、ご紹介させていただきます。
インスタグラムの『bac(k)style』を楽しみにしています!ここからインスピレーションを受けたことなどありましたら教えて下さい。また撮られている基準がありましたら教えて下さい。撮っていただきたいです!
私もこの質問非常に気になりますね!いかがですか?」


草野「楽しみにしていただき、ありがとうございます。『bac(k)style』からインスピレーションを受けることは無いですし、基準も無いですよ。通りがかりに、オッと思った時に撮っています。一瞬です。後姿の好みはあります、例えば大型のリュックを背負っている人を見つけると撮りたくなりますね。大型のリュックって殆どの場合は旅行だと思うんですけど、その中身も気になるし、何処に行くんだろう?そんな事を妄想します。
あとは、蚤の市にいらしているお客様は気になります。古いモノに興味を持たれているせいか、ご自身で使用されているバッグも愛用感たっぷりでコーディネート全体に雰囲気の良さを感じる事が多いです。」

金子「背中で語るではないですが、バッグで語る感じですね。バッグはその人の生活スタイル、趣味嗜好が出る物だと思います。」

草野「背中で語るって昭和だね(笑)。たまに見かけるんだけど、そんなメッセージや単純な面白さを感じた時も撮ります。後姿って無防備だから、自然なんですよね、そしてバッグは道具なんだけど、コーディネートの一部でもあるので、その時代のファッションとの関連性も興味深いかな……。10年とか20年後に振り返った時にいろんな発見があるかもしれないでしょ。」


金子「最後になりますが、もっともリスナーから多かった質問は草野さんの京都話です。草野さんならではの“京都時間の楽しみ方"を教えてください。」

草野「京都に引越して、ちょうど1年経ちました。最近はもっぱら渓流釣りです。電車に乗って30分、駅から10分も歩けば魚のいる渓流があります。ほぼ毎週通っています。人の手によって育てられた放流魚の川ですが、一年も経てば稚魚が生まれるので、ネイティブな魚も沢山います。釣りの事に関していうと都心に住んでいたら考えられないシチュエーションですよ。住居は緑に囲まれた南禅寺に近いので朝のジョギングコースのゴールは三門と呼ばれる大きな門の下です。そこでストレッチして寝そべりながら朝の空を眺めています。」


草野「街なかを流れている川が綺麗で、魚影を確認することも出来ます。釣りをしている方と話しをして情報収集したり。鴨が泳いでいて鷺が静かに佇んでいたりする白川では少し前まで蛍も飛んでいました。街中で蛍なんてビックリでしょ?近所の人達が集まってきて、綺麗だね~なんていいながら癒されたり。山が近いせいなのか、先日は近所でアナグマを見かけました(笑)。街に住んでいながら自然が身近にあることに日々感動していますね。」

金子「草野さんの趣味の釣りと健康作りのジョギングの環境が整った感じですね!自然に囲まれた環境とゆったりとした時間の流れに私も魅力を感じています。現在も移動は自転車ですか?」

草野「そうです。住居から仕事場のスタジオまでは自転車で約5分、京セラ美術館の改装を横目に平安神宮の参道を通っていました。今春からは改装の柵が外され、美術館裏の硝子の茶室(杉本博司さんの作品)を眺めながら通っています。贅沢過ぎる環境ですよ。正直普段は余り出掛けないけど、自転車で街を走ると昔ながらの長屋、町家が数多く残っていて、夏になると軒下に外掛簾がでて風情を感じます。


草野「あっ、あと空が広くて、雲がダイナミック!伊フィレンツェと姉妹都市ってなんなんだろう?と思っていたけど、フィレンツェのアルノ川と京都の鴨川、そして空の広がりかたが凄く似てる。勿論夕暮れ時の空も素敵なんですよ。よくよく考えると共に観光地でありながら、専業の職人さんの街で伝統を重んじ継承し守り続けている点も似ているのかな。京都ベタ褒めです。」

金子「すっかり京都に魅了されていますね!舌も魅了されていますか?」

草野「食に関しても、おススメ出来るほど京都の食を知らないんですが、知らない人目線のほうが面白いのでは?というMEN’S CLUBさんのリクエストも有って取材をしていただいた記事があります(MEN’S CLUB 2020年1月号)。バックナンバーで読めますので、良かったら探してみてください。まあ、こんな感じですごしています。」

金子「今回はご出演ありがとうございました。グルカの話からプライベートなお話まで聞けて楽しかったです。この続きは7月に展示会で京都にお伺いした際にまたお願い致します。」

草野「こちらこそありがとうございました。」

ブログを最後までご覧いただきありがとうございました。

<KENNETH FIELD>のグルカとは、ブランドのアイコンとなった今、控えめな印象から積極的な印象へとアップデートを繰り返し、愛用者を飽きさせない。
すべてはコーディネートを楽しむために。
気になった方は是非オンラインショップをチェックしてみてください。

サミュエル金子

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ビームス 金子さんによる「All Night Beams+」の記事はこちらから。
<KENNETH FIELD>のアイテムについても、詳しく紹介しています。
https://www.beams.co.jp/blog/beamsplus/59821/
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。