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STORY

非公認な軍パン。

アメリカ製の軍パンと言えば、昔よく穿いていたベトナム6ポケット。
当時は何故ベトナムかなんて気にしてなかったなあ。

ベトナム戦争の事自体よく知らなかったからね。

今でもミリタリーウェアの生地の事やディテールの事を良く見たり調べたりする。
戦闘服やユニフォームって言うと素敵だけど、なんだか滑稽だなって感じていた。

随分前に購入した米軍のオーバーコートにはフライングタイガーのパッチが付いてたんだけど、よくよく調べると、

フライング・タイガース
日中戦争時に中国国民党軍を支援したアメリカ合衆国義勇軍(American Volunteer Group; AVG)の愛称であるが、戦闘機(100機)やパイロットは米国政府が用意しており、実質、義勇軍の名を借りた米国の対日戦闘部隊
Wikipediaより

こんな過去を背負ったコートも。
ウールメルトンやライニングの色、質感、衿の収まり具合、ポケットやボタンの配置、どこを切り取っても良いなあと思ってしまう。

前職で訪れたブリュッセルには、軍服の資料館があって、年代別の戦闘シーン、マネキンが並んでいて、初めてみる軍服をスケッチしたり、メモしたり、とにかく刺激的だった。

そんな軍服の魅力に惹かれているのは、ミルスペックと呼ばれるその規格が戦時下において機能性を重んじて作られているという刷り込みと、戦後アメリカンカルチャーを含むアメリカという国に対しての考え方や意識が少し屈折していたのでは?いや、素直に何の疑いも無く順応させられたのではないか?とも思う。

敗戦国の国民の意識をアメリカ式に白く塗り替えられたおかげで、アメリカを含む、諸外国から様々なカルチャーにうまく染まっていく感じがあるとしたら、やっぱり戦争は服を変えたし、人の意識まで変えてしまったのかもね。


少し前にオノヨーコとジョンレノンのDouble Fantasy展を見に行って、あの時穿いていたベトナム6ポケットを作ってみたくなった。
恥ずかしながら反戦の意味を込めてミリタリーウェアを着るっていう事を知らなかったしね。

ほんと滑稽すぎるでしょ?

今回の6ポケットにはそんな反戦や紛争の終結の意味を込めている。

服って娯楽だけど、社会との関わり方を表すものでもあるとしたら、何かしらのメッセージがあっていいと思った。


イギリス人がアメリカの軍服を着て反戦を訴えたように、日本人がアメリカの軍服を模倣し作りながら反戦や人権を考える。
ミャンマーや香港の事も明日は我が身だよ。平和ボケした自分への戒めも込めて。

このネームは、イラストレーターの岩井さん@rina_iwai に割り箸で描いていただき、インド綿にプリントしたものです。


V6P (Vietnam 6 pocket trouser)
Size:Small-short/Medium-regular/Large-regular

*乾燥機にいれると股下が3cm ほど縮む場合があります。
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。