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STORY

KF Fox Flannel に合うマウンテンパーカってなんだろう?【後編】


【前編】からの続き......

そしてこんな生地もあるぞ、とキンジさんが出してきた生地に一瞬にして心を鷲掴みにされた。それは80年代頃の US ミリタリーオリーブカラーサテン生地と、M65*あたりで使用されていたであろうオリーブカラーのコットンナイロン高密度クロス。
なんでこんな生地が出てくるのか不思議だったけど、そんな事はどうでも良い。隣にいた山内さんも一瞬にして前のめりになっていた?

これまで山内さんと作ってきた共同企画商品の中で印象的だったのは、英 Aertex*をベースにリネンを混紡した新素材を使った KFグルカだった。
グルカトラウザーのルーツは英国に有り、それをジャパニーズアメリカンなフィルターを通して作りあげたのが KF だった。
そこに再び英ミリタリーのエッセンスを入れる発想に感動した事を覚えている。

オリーブサテンと言えば、通称ベイカーパンツやフィールドシャツなど、US ミリタリーで馴染み深い素材。
Vat dyed*と呼ばれた染色方法で生地染めされたミルスペック指定のオリーブカラー(OG-107*)のなんとも言えない横スラブと独特な光沢感は着用と洗濯を繰り返すと光沢感が落ち着き、しなやかな風合いになる事は皆さんご存知の通り。

そして M65*と言えば、米軍のフィールドジャケットの代名詞。
こちらは、ベイカーパンツやフィールドシャツに使用されていたサテン生地より目が詰まって、張りもある。
生地をバラしてみると経糸が細く緯糸が太い単糸使い。勿論ミルスペック指定のオリーブカラー(OG-107*)。ナイロンの速乾性と耐久性、綿の難燃性と吸湿性を兼ね備えた生地(一部 Wikipedia より)という軍服らしい素材。

脱線しながらも手応えを感じたミーティングは無事終了。その日は提案していただいた US ミリタリーの2つの生地を持ち帰った。

京都に戻りカットしてもらった2つの US ミリタリーの生地をテーブルに並べてみた。
色も織も違う生地、組成を確認する為に糸をバラして撚りを戻したり、バラした糸をライターで燃やしてみた。

これは大学時代、古着に凝っていた頃良くやっていた組成の適当な確認方法。
化繊だと燃えかすがダマになったり、粘着する事がある事を思いだした。



生地に水滴を垂らしたくらいじゃ撥水かどうかなんて分からないけど、とりあえずやってみた。翌日確認するとまだ水滴は滲んでいなかった。

どちらの素材も捨てがたく数日悩んだ。そして最終的に選んだのは、、、
RMFB*のオリジナルスタイルに35サマーズ様所有のデッドストックUSミリタリー生地を使用したスペシャルパーカが完成。

RMFB*の特徴的なデザインであるショルダーレザーパッチにはオリーブカラーのカウレザーを使用。この色が憎いくらいに渋くてミリタリーオリーブグリーン(OG-107*)との相性も抜群に良い。
フードは撥水加工されたナイロンタフタ。
ライニングには滑りの良い KF leaf*モチーフのキュプラ素材を使用。

アメリカンミリタリーとウエスタンワークウェアの融合を見事に表現した RMFB Special Parka。
Fox Flannel 同様に、このパーカも皆さんのワードローブに加えていただけたら幸いです。
ご協力いただいた35サマーズ様ありがとうございました。

最後に、このパーカは防水じゃないところが良いと思う。笑

RMFB x KENETH FIELD
Expressly for Arch


*OG-107
1952年から89年まで採用された US ミリタリーにおけるユニフォームの指定色。 Olive Green 107 の略称。因みに US ミリタリーの指定色は1930年代に OD-3(Olive drab-3)が古く、その後 WW2 までの間に OD-7 という指定色が存在する。当時はヘリンボーンツイルの素材で作られたフィールドジャケットやトラウザーがあった。1970年代前半より採用されたポリエステルコットン素材では OG-507 という色番号が表記されている。(一部 Wikipedia より)
*M65
80年代後半頃まで納入された米軍のフィールドジャケット。M1951 型が 9oz の撥水加工されたコットン100%に対して M65 型は60年代後半には撥水加工されたコットンナイロン混紡素材に移行している。初期モデルはアルミジッパー仕様でショルダーループ(エポレット)が無い(一部 Wikipedia より)。混紡素材とは、糸の段階で異素材を撚り合わせている。
*RMFB
カウボーイロープやリュックを背負った時の肩部分の生地ダメージを軽減する為、前見頃から後見頃まで継ぎ目のない一枚革を使用したウエスタンヨーク、フロントの斜めに配置されたジッパー付き胸ポケットやハンドウォーマー付きのフラップポケット等、機能的で使い勝手の良いディテールはカウボーイステイツと呼ばれるワイオミング州で生まれた。前編で注釈したピエール フルニエ氏はきっと、そんなカウボーイの機能的な道具でありユニフォームを当時から愛していたのだと思う。そしてその精神を35サマーズのキンジさんが今に受け継いでいる。
*Vat dyed
現在はコットン100%のミリタリーウェアなど存在しないだろうから使用されているかはわからないが、当時の染色基準では、洗濯を繰り返しても退色しにくい、塩素に比較的に強い等、ミリタリースペックをクリアした染色方法だったのではないかと推測。たまにデッドストックのアメリカ製製品(青、緑、黒色の製品)に VAT DYED のタグやシールが付いていることがある。(一部 Wikipedia より)
*英 Aertex
第二次世界大戦中、イギリスの女性陸軍は制服の一部として Aertex を着用し、極東および中東のすべてのイギリスおよび連邦の陸軍は Aertex のブッシュシャツとジャケットを着用しました。これらのユニフォームは、極東ではジャングルグリーン、中東ではカーキドリルに指定されました。(Wikipedia より)
*KF Leaf
米ロサンゼルスのグラフィックデザイナー Bill Tom 氏による Kenneth Field ロゴデザインのひとつ。草野の名前からイメージして作っていただいた葉っぱマークで、大地に根ざしたブランドという想い?を勝手に受け止めている。

[Information]
草野さんの KENNETH FIELD や、記事に登場した山内氏の Arch が参加する「rdv o Kyoto POP UP STORE」が京都新風館で開催されます。
札幌、東京、大阪、それぞれの街で異彩を放つショップとブランドが集まり、選りすぐりのアイテムを一同に展示。期間中は、デザイナーやショップオーナーが在店します。

rdv o Kyoto Pop up store
開催日時:2020年10月29日〜11月4日
場所:京都新風館 1F POPUP SPACE “SPOT”
住所:京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2
参加ブランド・ショップ:AMIACALVA/Arch/KENNETH FIELD/NORTH WORKS/rdv o globe/vekt
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。