Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

STORY

遅刻魔とハンズのノート

3月末にMOJITO2024年秋冬の展示会準備と納品と出荷が重なり、ここ1週間あたふたしている。無駄な時間を過ごさず緊張感を持って動かなくてはならないのだ。独りで仕事をしていると1時間でどこまでこなせるかがものをいう大好きなハイシーズンの到来でもあり、梯子を一段踏み外すとアウトな時期でもある。あたり前だけど、展示会を開催するには諸々の準備が必要で僕の場合は開催日の約1ヶ月前に必ずお祭り騒ぎになる。予定していたサンプル用の生地がなかったり、サンプルの仕様が違っていたり、確認予定期日までに間に合わなかったりと、まぁ、毎回同じようなことの繰り返しなので慣れてはきたものの・・・・。

「山下さん、すみません。1時間くらい遅れます。マジですみません!」と電話がある。この電話もほぼ毎回のことなので慣れている。ただ今日は何が何でも17時までに発送を終えなければならないので、今回の1時間は正直しんどい。着分(展示会サンプルをつくる為の生地)の受け渡しをするためのついでに恒例となっている「近況報告も兼ねて、昼飯くいましょう。」を次回からはナシにすると決めた。なんならわざわざ受け渡しをしなくても次回から送ってもらってもいいしなー。待たされる場所は新宿の新南口。さて、どうするか?そうだ展示会用の備品を買いにハンズに行ってみよう!久しぶりすぎてどこに何があるのか全く分からない。気のせいか時間帯なのかエプロンをした店員さんも少ないし、僕が探すものはだいたい無いことが多い。無いものを探しているいつもりはないんだけど。接客を終えたベテラン風の店員さんに探し物を伝えると、それが並べてある棚まで案内をしてくれた。「あれ?最近までここに並べていたんですけどね~.。調べて参りますね(笑)」ここでも待たされる。小走りで戻って来てくれた店員さんが「もう生産を止めたようで取り扱いを止めたようです(笑)」「そうですか。ありがとうございました」。遅刻魔と会うまであと30分ちかくあるので別の階に行きノートやメモ帳コーナーのパトロールを開始することに。初見のモノばかりで興奮する。店内の照明が強すぎて目がチカチカするこの感覚も嫌いではない。全部ひっくるめてハンズはやっぱり凄いなと実感する。ぼくはパソコンやスマホでメモをしたり予定を確認しないので、とにかく紙をよく使う。Post-Itが大好物だしブロックメモの類が机にあると何とも言えない安堵感がある。同じサイズや同じ色のものが規則的に並んでたり重なっているものが、物心ついた頃から大好きだ。遅刻魔との会うまであと15分のところで、手のひらサイズのノートを発見。小学生のころに職員室で見たようなみどり色が、最高で流石の一言。質感やサイズも申し分なし。手に取ってみてみると色違いの栞が2本ついているし、全ページにミシン目付のインデックスがあり5ミリ方眼ときたらもう買うしかない。値段は1,430円高くもないし安くもないけど1,430円でこのクオリティだったら申し分ない。ほぼ同じサイズの栞がすぐ外れる海外組の手帳と比べると約半分の値段。このノートを開発した人に会って話をしてみたいと思うくらい僕にとっては魅力的なノートを購入した。遅刻魔の恩恵だと感謝するしかない。


会計を済ませて待ち合わせ時間の10分前。ボーっとエスカレーターを下り待ち合わせ場所に到着。コンバースのお店の中を外から覗いていると、ちょうど待ち合わせの時間になった。ドヤ顔で遅刻魔が登場。リスケの時間に間に合うとドヤ顔する憎めない遅刻魔である。会うなり開口一番「すみません。1本電話いいっすか?」と言いながら半笑いで甲州街道の方に向かって指差しをしながら(こっちに歩けの意)電話をしている。「あ~ぁ、すみません。40分くらい遅れます。もう新宿で打ち合わせ終わるんで。はい。」そそくさと電話を終えた。めちゃめちゃ寒いのに何故か薄着の彼は右手にスマホ、左手に財布しか持ってない。しかもノリノリで「昼はカレーいきますかっ!」と、僕に話しかけてくる。とことん憎めない遅刻魔だったのだ。

SALUTE LIFE!

Hirofumi Yamashita

MOJITO Designer山下 裕文

1968年熊本県生まれ。服飾専門学校を卒業後、スタイリストアシスタントを経ていまもなお伝説として語り継がれる「PROPELLER」でプレスバイヤーとして活躍をする。その後、米国の西海岸を代表するショップの日本初の展開時には、ジェネラルマネージャーとして勤務。2005年に独立し英国の老舗ブランドやストリートからアウトドアブランドなどの契約業務を手掛けてきた。2010年に自身のブランド「MOJITO(モヒート)/ http://mojito.tokyo」をスタート。ブランド名は、ヘミングウェイが愛したとされている(モヒート)に由来。毎シーズンのコレクションでは、ヘミングウェイの作品を読み説き自身の服に対する哲学を通し、ヘミングウェイの人物像や時代背景、生活シーンなどをそれぞれのアイテムのディテールで表現。MOJITOとは、この稀代の文豪へのオマージュであり、男たちのための「道具としての服」の名でもある。