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自分らしくあるためのネクタイサンジェルマンの香るネクタイ

1990年、代官山に『 Marsel Lassance 』をオープンさせるため1ヶ月ほど Paris の本店に研修で立ちました。アメリカしか知らない26歳の私がいきなりパリのショップスタッフですからさあ大変。。。
仕事で行ったとはいえ、そこは物欲の宝庫です。スミスのワークパンツにテーラードジャケット、様々なオールデン、何色あるのか分からないほどのグレンマックのニット。お店はシャツ、ジャケット、タイなど、無造作に置かれ、日本のお店とは少し違った感覚でした。何から仕事をしていいのかわかりません。フランス語での接客など出来るはずもなく、まずは整理整頓とおもいジャケットの肩のラインを合わせ、シャツを色別に揃え、ネクタイをストライプ、ペイズリー、無地と分けて綺麗に並べました。なかなか何も言わなくても働く子だな。と思われると思ったのですが、いきなり駄目出しでした。
こちらの店では無造作感を大事にしているようです。バラバラ、僕から言わせればグチャグチャ感がいいようです。日本やアメリカのお店とは全く違います。彼らはその乱雑に並んだ洋服をバンバンコーディネイトしてゆきます。画一化された中からコーディネイトして販売する日本で今まで学んだ接客とはまるで違います。スーツ、シャツ、ネクタイと無造作にソフェの上へコーディネイトしてゆくさまは圧巻です。その接客の格好よさに圧倒されました。
1ヶ月間いろいろ教わりましたが、一番印象に残っているのはネクタイのコーディネイトです。一つのジャケットに対して3種類のシャツ、ネクタイで表情を変える合わせ方です。お客様との会話の中で職種、趣味などを観察して提案するのです。

・官僚、銀行など少し固めのお仕事される方への提案。当時、ミッテラン元大統領の衣装をやっていたのでこちら関係の方も多く来られていました。

・ 芸能関係の方への提案。やはりこの時期、映画の衣装提供もたくさん行っていたのでマストロヤンニなども普通に買いに来られていました。

・これから社会に出る新人さんへの提案。親から子へ継がれるお店が多く、親子での来店も多く見かけました。JMWeston などもそうですね。

この3種類のコーディネイトを瞬時に提案できるように教育されました。この時期はやはり1つのスーツを買うと3種類のコーディネイトでネクタイも3本ずつ買っていました。今ではあまりネクタイはしませんが、今でも当時の『 Marcel Lassance 』の物を大切に保管しています。