スナップ写真というものが、モノを売るためのカタログになっていたり。
プロのカメラマンが「インスタみたいに加工して」とオーダーされたり。
実際のところインスタ写真のほうがモノが売れたり。
20代のカメラマンがこぞってフィルム写真を撮っていたり。
現代最先端と言われる写真が「写ルンです」で撮った写真だったり。
もう、なにがなんだかわからない・・・。
そんな時代だからこそ、デジタルとかフィルムとか関係なく、シンプルなポートレート写真が心に響く。
先週発売された『ジャパニーズダンディ モノクローム』(万来舎, 2017)という写真集は、そういう当たり前の事に気付かせてくれる一冊だった。
ファッションプロデューサーの河合正人さんが、数年かけてつくった写真集『ジャパニーズダンディ』(万来舎, 2015年)をモノクロ写真にて再構成したこちらは、A3サイズの平綴じ、191ページという超ド迫力の一冊。ファッション業界の有名人から著名なミュージシャンまで、170人を超える登場人物は、カメラマン大川直人さんの小さなスタジオで、同じ布バックのもと、思い思いの装いとポーズで撮影されている。シワもシミも修正せずそのまんまなのだけれど、これが実に味わい深くていい。眺めていると、自分が歳を重ねることが楽しみになってくるのだ。
不肖山下も、「平林洋服店」でビスポークしたフランネル製のつなぎで登場。
今年で41歳になる僕だけれど、このメンバーの中にいるとまだまだペーペーで、貫禄が全くなくて、でもそれがなんだか嬉しくなってくるから不思議である。
こんなご時世にこんな豪華な写真集を出版してしまう河合正人さんには、
同じ出版に携わる人間として、心からのリスペクトを捧げる次第。


















