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2021の自分的流行ハッセルブラッド『907X』は買いなのか?

13年にわたって活動したMEN’S Preciousを離れて、完全にフリーとなった2020年秋。コロナ禍も重なって明日をも知れぬ身。できるだけ慎ましやかに生きていこうと心に誓ったのだが、なぜかカメラ趣味だけは自粛できない。またしても危険なブツを購入してしまった!


そのカメラの名前は『907X』。スウェーデンが誇るブランド、ハッセルブラッドからこの9月に登場した、中判カメラの最新作である。
中判カメラとは、ざっくり言うと広告やファッション撮影などでよく使われる、高画質なプロ向けカメラのこと。重たくて取り回しにくいものが多いし、画像サイズも大きすぎて持て余してしまう。正直いって僕のような素人には不必要なシロモノなのだが、こればかりは仕方がない。だってこの『907X』には、僕が所有するハッセルブラッドの名作フィルムカメラ『500C/M』に取り付けられる、デジタルバック(ユニットのようなもの)『CFVⅡ50C』が付属している。
カメラを知らない方には何のこっちゃ?かもしれないが、要するに『907X』とは、それ単体で使えるのみならず、『CFVⅡ50C』部分を取り外して『500C/M』と合体させることで、デジタルカメラに進化させることができるのだ!

ま、実をいうと今までも同じようなモノはあったのだが、従来のデジタルバックは見た目もそれほど格好よくないし、何より価格が驚くほど高価だった。完全なるプロ仕様だったのだ。しかしその点こいつはハッセルブラッドのDNAを受け継ぐクラシックなルックス。しかも本体価格は¥727,650+税。ライカのMデジタルよりも安いんだから、買うしかないじゃないですか!
 
その写りやカメラとしての完成度云々については、プロやハイアマチュアの皆さまが書いた記事をご覧いただくとして、ここではあくまで僕個人の目線で、このカメラの魅力を語っていきたい。
 
簡単にいうと、このカメラには3つの楽しみ方、というか運用方法がある。
 

①  『907X』と『XCD』レンズでの運用


こちらは『907X』のデフォルトとしての使い方。デジタルバックを目当てに購入した自分にとってはノーマークの使い方だったのが、意外とこれが悪くない。国産デジカメにはないクラシックで質感豊かなプロダクトデザインと、最新デジカメの機能とが融合した、実に魅力的なカメラなのだ。ファインダーがないためピーカンだと背面の液晶が見にくくなるのが欠点だが、操作方法もシンプルで快適だし、XCDレンズの写りも素晴らしい。スナップカメラのような気軽さで中判カメラの描写力を味わえる、他にはないカメラだ。RAW現像を前提としているようだが、個人的には、モノクロなどのフィルムモードがあってもよかったかな?
 

②  フィルムバックとしての運用


カメラ好きなら誰もが心惹かれる、デジタルバック『CFVⅡ50C』と、ハッセルブラッドのフィルムカメラボディとの組み合わせ。果たして1970年代につくられたカメラボディと、最新のデジタル機器がマッチするのか? という疑問はあったが、その工芸品レベルのデザインや質感の相性は驚くほどよく、遠目にはデジタルバックを付けているとは気づかれないくらいだ。ハッセルならではの「真四角写真」にならない点は気になるが、この格好よさ、そしてハッセルが誇るVレンズをデジタルで使えるという、大いなる魅力の前では目を瞑りたい。ちなみに古いハッセルの場合、『CFVⅡ50C』がうまく連携しないケースも多いようで、僕も本体をオーバーホールすることになった。注意してほしい。
 

③  『907X』とオールドレンズでの運用


『907X』のデフォルトは『XCD』レンズなのだが、レンズアダプターを介せばライカなどのレンズを装着することも可能。「ライカで5000万画素」の写真が撮れるという、実にそそられる運用方法である。が、しかし!ここには大きな落とし穴が。他社製レンズを使う場合は「電子シャッター」に切り替えて撮影することになるのだが、俗に言う「ローリングシャッター歪み」や「フリッカー」がひどく、動いているものや室内での撮影は困難。撮り方のコツで多少は軽減できるが、仕事ではこわくて使えそうにない。オールドレンズを装着した時のルックスはとても素敵なので、もっと活用したいものだが・・・。
 

というわけで、以上が僕による忌憚のない『907X』評。使って初めてわかったことも多いが、決して完全無欠のカメラではない。しかしそんなあれこれを差っ引いても、魅力的すぎる「買いのカメラ」であることは間違いない。個人的にはそのデザインが最大の魅力だと思うのだが、XCDレンズと組み合わせればシロウトだって使いこなせてしまうほどに、操作性のよさは抜群である。こんなカメラをみんなが持ち始めたら、プロカメラマンはどうなってしまうのか……。人ごとながら心配してしまうよ!