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旅して見つけたカフェグッズロイヤルワラントの老舗に薦められた、お手軽コーヒーメーカー

数年前、ロンドンへ “買いつけ” 名目の観光旅行へ。いや、本当は色々と仕入れたいものがあったのだけれど、当時のポンドのレートだとどうしたって仕入れ価格には相応しくなかったのだ。せめて何かひとつでもと、高額で売れそうなロンドンらしい商品を探すのだが、そう甘くはない。SOHO にある有名なヴィンテージマガジンショップを尋ねてみたが「Jean Shrimpton も Twiggy もぜーんぶ売り切れだよ」と即答。折角、海を渡って来たのに・・・なんて恨み節も、自分の店でも全く同じじゃないかと反省させられる事になる。「ギャルソンもヨウジも全て売り切れなのですm(_ _)m」
仕事が果たせないなら、せめて家族からの依頼に応えなければ。旅立つ前、家内から「素敵なコーヒーポットがあったら買ってきて。もしあったら・・・でいいから。」といつになく目ヂカラを込めて云われた。この場合、「もしあったら」のくだりは “必ず見つけて来いよ” という意味だ。わざわざそんなワレモノ的なのを…とは思ったが、とりあえず権威的なところにすがろうと、ロイヤルワラントの珈琲商、H.R.ヒギンスの本店へと向かった。
H.R.ヒギンスの本店は繁華街から少しだけ外れた、だけれども趣きのある古い街並の途中にあった。恐らくは商品の保存に関わるのだろう、斜め下に長く突き出たひさしが店の入り口を隠し、なかなか入りづらいオーラを醸し出していた。それでも使命を果たすべく入店、勇気を振り絞って「コーヒーポットのお薦めは?」と訊いてみた。如何にも “老舗の番頭” みたいな風格の店員が取り出してきたのは、SOWDEN というメーカーの「 SOFTBREW 」という商品。クリーム色に近いイエローで、木製のフタも可愛い。うん、デザイン的には洒落ている。でもよく見たら made in china の表記が。わざわざ英国まで来て中国製か…と思いながらも、他に選択肢が無かったので購入した。
無事日本に持ち帰り早速使ってみる。単なるポットだとばかり思っていたが、何とこれひとつでコーヒーを淹れられるシロモノだった。非常に目の細かいステンレスのフィルターが付属しており、挽いた豆を入れてお湯を注ぐだけでコーヒーができる。俗にいう「フレンチプレス」的な淹れ方であろうか。試してみると、中々どうして旨いコーヒーが出来上がる。紙のフィルターでは取り除かれてしまうような豆の油分が抽出される事で、より深い味わいが楽しめるのだ。豆の微粉が混ざってしまうのが好みの分かれる所だが、そこも含めてディープな味と言えよう。
今回ネット検索してみたら、日本にはあまり入ってきていないみたい。しかしながら、これと同シリーズのものがスターバックスの米国サイトにてプッシュされているではないか。購入者のレヴューも好評。どうやらコーヒー通にとってもいいモノを買えたらしい。流石はロイヤルワラント、間違いのない買い物だった。