とまあ今さら嘆いてもしょうがないので、これからはそういった着こなしは、自分ひとりで楽しむしかなさそうです。私が持っているとっておきの一足は、「グッチ」が2011年に発表した『1921コレクション』という限定ライン。エレガントなフォルムやイルチアっぽい上質なカーフに加え、たまらないのはサイドにもバックにもジップがついていないという潔さ。それゆえにめちゃくちゃ格好いいのですが、そりゃ履く人を選ぶわな。
このブーツにコーデュロイのジョッパーパンツのすそをインして、「アルニス」のイエローっぽいツイードのロングコートをガバッと羽織り、トドメに別珍のハンチング帽・・・。そんな時代錯誤な出で立ちで真冬のパリの夜をひとり歩きするときは、僕にも『ミッドナイト・イン・パリ』現象が起きるような気がして、ちょっとドキドキしてしまうのです。そういう楽しみは、もうファッションには求められてないのかな?
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。