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STORY

カーキの誕生


おかげさまで、引き続き好評を博しているドレスシャツ「Leonard」。ロングポイントのレギュラーカラー、フライフロント、両胸に付いたダブルポケットが特徴の(ディテールのコンテクストが見えづらいという意味で)半透明色をしたシャツだ。初代の白、フレンチブルー、ベージュの三色は二度目の追加分も品薄になった為、現在さらに追加生産中。なので、ちょっと箸休め的に新色のカーキを作ってみた。

 

 

 
先の三色と同じThomas Masonの定番的スワッチにあった100/2のブロード生地は、カーキになっても相変わらずの安定感。両胸ポケットというディテールがそうさせるのか、ベージュに比べてサファリというかミリタリー的な匂いが微増した気がする。
 

 
疑似パールやペルソナタイ、BLESSのピンズ、90’s Romeo Gigliのジャケットに合わせて意味なくコーディネート。ジャケットのボタン色とシャツの色がマッチしているのはシンクロニシティ。意識して合わせたわけじゃない。レジメンタルタイを合わせればユニフォーム感をもっと演出できそうだし、黒いニットタイを合わせればアメリカ的、もしくは一周回ってパリ的かも。ネイビーブレザーやグレーパンツに合わせてもカッコよさそうだし、冬はフランネルスーツの中に着てみたい。

古くは19世紀にインド駐留英国軍が(汚れが目立たないように)現地の土色に似せて作った「茶色がかった黄色」の軍服をカーキの源流とする説があるらしい。どのような色がその場で必要とされるのか、勿論それは時代や場所によって移り変わる。

僕は古典的なユニフォームカラーが好きだ。ネイビーやグレー、ワイン、オリーブ、そしてカーキ。それらはチームごとの区別を意味するようでもあり、同じ色を皆で分け合うことのようでもある。つまり、誰もが身につける色になり得る、ソレ。敵味方が区別された後で、右も左も青も白もごちゃ混ぜになりつつあるニュートラルな状態はいかにも不安な感じがするだろう。無意識に掴まされることではなく、自ら掴み取ること。お仕着せのユニフォームは既にほとんど無くなったが、いまこそ僕はカーキを着たい。

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Satoshi Tsuruta

NEJI Organizer鶴田 啓

1978年生まれ。熊本県出身。10歳の頃に初めて買ったLevi'sをきっかけにしてファッションに興味を持ち始める。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻に興味を持てず、アルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを本格的に決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆などを16年間にわたり手がける。2021年、22年間勤めたビームスを退社。2023年フリーランスとして独立、企画室「NEJI」の主宰として執筆や商品企画、スタイリング/ディレクション、コピーライティングなど多岐にわたる活動を続けている。同年、自身によるブランド「DEAD KENNEDYS CLOTHING」を始動。また、クラウドファンディングで展開するファッションプロジェクト「27」ではコンセプトブックのライティングを担当し、森山大道やサラ・ムーンら世界的アーティストの作品にテキストを加えている。