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本当は教えたくない!?味わいのある弁当食べる技量も試されそうな、きわめてシンプルなお弁当

食にまつわる本を手にする事がある。京都の古本屋で見つけた 『食いしん坊〈第3〉(小島政二郎著)』というタイトルの本。駅弁のくだりで出てきた『香弁』と『ネコ弁』。『香弁』というのは、御飯に、いろいろな漬け物が入っており、漬け物の事を“お香々(こうこ)”と言ったらしく『香弁』という事だ。他のおかずは何も無く。全部漬け物(お香々)だけど季節の野菜の糠漬けや塩漬けが盛り合わせてあり、まるで秋の花野を見るようだったと。

洒落た人が、瓢箪にお酒を入れて、それを腰にさげて、このお弁当を持って、向島の百花園とか萩寺とかいうようなところへ行って、花を見ながらお香々を酒のサカナにして楽しんだものだ。(「食いしん坊〈第3〉」11pより抜粋)

『ネコ弁』というのは、鰹節を、御飯の上へ振き醤油を垂らし、付け合わせのワサビを混ぜ合わせながら食べる弁当。ただこちらは、少し上等な鰹節、醤油、ワサビ、そして冷えた御飯のほうが良さそうだ。

食べる時、少しずつこのワサビを御飯とオカカにまぜて食べるのだ。いいオカカのニオイと、ワサビの香おりと、御飯のニオイとがまざって、なんとも言えない芳香を放つ。(「食いしん坊〈第3〉」11pより抜粋)

『香弁』と『ネコ弁』このきわめてシンプルなお弁当、今だと作る技量もそうだが食べる技量も試されそう。ともに東京のお弁当屋で販売されていたという昔話。
写真は「京都なかがわ」の「おにぎり朝一番」。おにぎりの形、大きさ、しっとり感が丁度良い。最近のお気に入り。