そもそも捻くれ者の私は “イカニモ” な事に抵抗があり、“アメリカン・イカニモ・グッズ” の代表格であるこの食器たちには中々手を出せなかった。可愛いのは見た目だけで、やたら重たくていいお値段。それに、どう間違っても『霧島』には合わないよなァ・・・そんなバカな基準で難癖をつけながら、雑貨店のショーケースを眺めていたように思う。
そんな私も家族での沖縄旅行をきっかけに、“アメリカン・イカニモ・グッズ” に気を許すようになってしまった。南国ムードに煽られて 、ダイナーでデカいハンバーガーを頬張り、アイスクリームで口の周りをブルーに染めた。そんな旅先のユルユル気分で買ってみたのがマグカップ。ファイヤーキングとパイレックスをごちゃ混ぜに、いい感じのヤツを家族分買い揃えたのだった。
朝のコーヒーで使ってみて、その口当たりの良さにナルホドと膝を打つ。そのぽってりとしたミルクガラスは、通常のコップでは知らないうちに削がれていたデリケートな風味を、失う事なく口元へ届けてくれるのである。そう、それはみんな大好き “ビン牛乳” と同じ感覚だ。紙パックと中身が同じであっても、圧倒的にウマいのが瓶の牛乳。理論的な説明はできなくても、感覚的な “絶対” が間違いなくそこにある。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。