話は変わって、来季2017/18秋冬ファッション界最大のニュースと言えば、パリとボックスロゴのコラボラインだろう。ただマークを赤くしてくっつけた様な短絡的な物ではなく、全ては契約デザイナーの時代の空気感やサイズバランスを読む嗅覚&ストリート感覚の上に巧みに仕組まれたカッコよさであった。ただ、ボックスロゴの魅力ってそのゲリラ性で、最も広告力のあるモチーフに非公式に赤ボックスを貼付ける、この非公式プレーこそが最大のプレミアム感覚だったのだが、今回は公式だ。自分の過去に置き換えるなら、80年代、学校をサボって好きなハードコアパンクバンドのステッカーを北新宿のUKエジソンやウッドストック、新宿レコード等で調達し、ライブハウスのトイレのドアに貼っていたあの感じ。それが今では教育委員会公認でステージ上で貼って下さいと言われている様な照れくささがちょっとあるんだな。しかしこの出会いは時代が求めた必然なのであろう。
バーバラの産み出した社会をシニカルに風刺する戦う赤いロゴ。この2強のシェイクハンドはゼウスがもたらしたパンドラの箱なのか?ボックスロゴなだけに・・・。まあ、箱の底には希望が残る約束だから勿論心配は無用だ。
そうか! バーバラのマグカップの口元のヒビ、いっそのこと古伊万里の如く金継ぎで直そうかな? きっと今ならいつものストリートのコーヒーからラグジュアリーな香りが漂い出すに違いない。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。