山下「このクルマ、Aくんにあんまし似合ってないよね?」
Aくん「山下さん、僕メジャー感がほしいんですよ」
山下「どういうこと?」
Aくん「この業界の人、みんな乗ってるクルマみたいな仕事してるじゃないですか」
山下「と、いうと?」
Aくん「僕もそろそろゲレンデっぽい仕事したいんですよね・・・」
『ドカベン』の殿馬のように知る人ぞ知るいぶし銀スタイリストだったAくんは、このクルマに買い換えてすぐ、某大手出版社の某メジャーファッション雑誌の仕事をゲット。僕が持ってくるしょっぱい仕事を引き受ける余裕がないほどの、ゲレンデっぽい大活躍をみせている。
まあそもそもの趣味嗜好なわけだから、仕事とクルマのテイストが共通するのは当たり前なのだけれど、仮に彼の説が正しいとしたら、ルノーの「カングー」(初期型)に乗っている僕はいったいどんな仕事をしてるんだろう?
コンパクトで小回りが利く。丈夫で傷や汚れに強く、酷使可能。ちょっとチープでステイタスは望めないけれど、そこそこ洒落ている・・・みたいな感じ? 本音をいうと僕ももうちょいメジャー感はほしかったけれど、まあ当たらずと雖も遠からず。
そもそも4年前にこれを買ったのは、クラシックなデザインと現代的な使い勝手(AT やクーラー)を兼ね備えたクルマがほかになかったという理由からなのだけれど、あまりに快適すぎて乗れば乗るほど手放せない存在になっている。てことは編集者としての僕もなかなかに使い勝手のいい存在なのかもね。なんて、今回くらいは自分を褒めさせていただきたい!
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