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熱い男の防寒着東京的な防寒着って・・・。

例えば東京に於ける都市生活者のマスト・バイな防寒着って問われるとなかなか答えに窮しますよね、昨今の天候不順や暖冬も相俟って。男はスペック好きだからダウンのフィルパワーやナイロンの打ち込みなんかで物を選ぼうとしてしまいがちなんです。たとえ、もの凄い物を手に入れても山手線の中じゃただ暑いだけなんですよね。南極に行って初めて真価が発揮されたりして。そこで、記憶を頼りに思い出に残る東京着用限定の名アウターをひねり出してみました。(自社製品は除く)
(1) パタゴニアの90年代初頭から脈々と続くフリースのパイルとナイロンのリバーシブルブルゾンで、その名も『グリセード・カーディガン』。シンチラやレトロパイルフリースって風がビュービュー吹くとおやっ?って程寒いんですよね。もちろんナイロンヤッケをレイヤーがお約束なんですが着膨れも限界に達してしまうんで、単体で見たら防風だけが弱点だと思うんですが、このリバーモデルはある意味最強。ファイアーボール程は膨らまずな感じがツボでした。
(2) コムデギャルソン・オム・プリュスの縮絨コート。古着しか着ないと決めていた人生の中で数少ないデザイナーズ物。後にポールハーデンやフランクリーダーの様なオーギュスト・ザンダー調なジャンルが出来ましたが、この縮絨シリーズはヨーロッパの没落貴族っぽくて素敵でした。古着よりボロかった。
(3) N3−A実物(トップ写真)。昨年研究の為に完全解体&好みのシルエットにレストアした50年代製の1着。フォトジェニックこの上無しの佇まいに対し衝撃のかっこ悪さ。日本人体型でオリジナルで着るならS寸以上は絶対ムリ。ウルトラマッチョな兵隊さんの作業用なのでチェスト、肩幅が大きいのはわかりますが、あの肩の丸みと袖傾斜の意味が全くわかりません。アメリカの作業着系ラグランスリーブってほぼ袖傾斜の無い奴凧状態がお約束なんですが、このN3−Aは変な事してるんですよね。ウールの板綿と裏地を抱かせて表のナイロンとどんでん返し縫製なのでパンパンに張ってしまうんです。デカさMAXな見た目に陥ります。なので昨年のレストアでは昭和のヤンキーバイクのあんこ抜きの様にウール綿全摘出&袖山カット&袖幅カットで何事も無かったかの様なイマドキBIGサイジングなN3-Aに作り変えてみました。中綿なくとも東京では十分な防寒性能でした。パリやニューヨークなどは突然零下○○℃なんて来ますよね。でも、東京はぼちぼちなので逆に防寒性能の設定に難しさを感じています。着る時も、作る時も。