彼の作る作品はコンテンポラリーなスタイルで他には類を見ない作品です。TUFA CASTING を簡単に説明すると石にデザインを掘りシルバーを流し込み固めます。それをサンダーをかけ磨き上げ、石を装飾し仕上げます。同じ石は多くても3〜4回しか使い回しができません。同じものはあまり存在しないのです。気きさくで人なっこい性格の彼はサンタフェでも大変な人気者です。
一度うちで行うパーティーに誘ったことがあります。会社ではそこまで予算が出せなかったので、僕が自腹でエアーチケットを送ってあげ、宿泊も我が家に泊まってもらいました。一週間ぐらいでしたが彼との楽しい日々が思い出されます。シルバースミスはシルバーを削る際に出るシルバー粉を吸いすぎて、長くは生きられません。アメリカの田舎で昔から作っている人は特にマスクもせずに作り続けてきたのでしょう。彼もしかり、毎日シルバーを体内から出す薬を飲んでいました。この病気はアルツハイマーも発症します。シャワーの栓が閉められないと泡だらけで出てきたのをバスタオルで拭いてあげました。ちょっと悲しくなってしまいましたが、そういった彼が丹精込めて作り上げる作品は絶品です。彼を成田空港に迎えに行くとデニムに PENDLETON のブランケットジャケットを羽織って登場。そう、彼が TUFA CASTING の名士 " DANNY ROMERO "(写真4枚目)です。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。