もちろん事情は理解しているつもり。悪質な値札の貼り替えなど、大型店舗であることの防犯意識は厳しいに越したことはない。それにあの手のシール値札って、価格表記方法としてとてもわかり易く、同時に商品を「安く見せる」効果もあると思う。ピカピカに磨かれたカバーの定価表記のそばに、赤い縁取りの低価格シールが貼ってあれば、なんだかお買い得感があるというものだ。しかしそれは、逆を言えば「安っぽくみえる」という事でもある。一流のデザイナーによるカッコイイ装幀の本も、¥100の値札シールひとつでその内容さえ否定された気がしてくる。
そんなわけで、本の値札シールはきれいに剥がしたい、そんな私が店でも私用でも使っているグッズを紹介します。別にプロ仕様というモノでは全然ないが、この二点さえあれば大抵のシールは剥がせるし、乾いた布でふき取ればベタつきやその他の汚れも落とす事ができる。
ひとつはヘンケルジャパンという会社の「 LOCTITE シールはがし」というスプレー。シール部分にこれを吹きかけて数分待てば随分剥がし易くなる。よくある “シールはがし” のひとつだけれども、これまでに試した中では本を傷めないレベルにおいて最も調子がいい。このスプレー缶にはヘラが付属しており、それはそれで使えなくはないのだが、シールというシールは全て剥がしたい貴方にはもうひとつ、ニトムズの「テープはがしカッター」も是非試して欲しい。バターナイフのような形状で、薄型の刃が誌面とシールの接着面に切り込んで見事に剥がしてくれる。それはとても鋭い切れ味なので、手元が狂えば本を傷めてしまうのでくれぐれもご用心。
話はズレるが、輸入モノの洋雑誌には何かとシールが貼ってある。日本向けの価格表記やバーコード等、装幀にお構いなしのものも少なくない。特に昔のものは、「フランスより特別空輸」みたいなシールが表紙にデカデカと貼ってあって、アヴェドンの貴重なカバーフォトを見事に台無しにしてくれちゃったりもする。最近ではさすがに配慮を感じるけれども、例えば『 KINFOLK 』みたいなシンプルホワイトなデザインには、どんなに目立たないシールでも雰囲気を損なう。「このラベルはきれいにはがせます」との表記がありながらなかなか剥がせない場合も多い。どんどん “アートブック化” していく昨今の雑誌たちには違和感があるけれど、これまでの “商品としての扱われ方” にも不満を感じているワガママ古書店主であった。
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