この “40周年記念号” の特集は「40年後の西海岸」。つまりは創刊号のカリフォルニア特集をなぞった内容であり、2012年のリニューアル以降また注目を集めている同誌においてのメルクマール的な事にもなるのかもしれない。40年前と同様、スタッフたちが長期滞在で「じっくりと味わって」作った特集は、それぞれの書き手自身の体験が綴られていて、確かに『 POPEYE 』らしい熱をもった “便り” でいっぱいだ。
そしてやはり気になるのが、過去を振り返る第二特集「 POPEYE 40 YEARS HISTORY 」。『 AMETORA 』(早く訳本を出して欲しい!)のデーヴィッド・マークス氏の寄稿文から始まり、石川次郎氏ら当時のスタッフへの取材を元にしたヒストリーへと続く。既に広く知られているような話もあるだろうが、『 POPEYE』の節目として本誌に纏められる事は何より感慨深いし、歓迎すべき “自画自賛” だ。私の古書店の『 POPEYE 』バックナンバーの攻略本として、棚の前に飾っておきたい気持ちだ。
また、個人的に合点がいった所があって。私の店の常連客で、過去の『 POPEYE 』にインデックスを貼り付けまくってディクショナリーにしているようなツワモノがいらっしゃるのだが、その方曰く現在人気の “リニューアル後 POPEYE ” について、「90年代アタマくらいで見た感じだよね」と早々と指摘されていた。それが今回の特集内の長谷川昭雄さんのインタビュー、そして TSUTAYA サイト上の木下編集長のインタビューにおいて、両者とも91年の同誌からの影響をほのめかしており、ナルホドと膝を打った次第。私の店の宣伝のようで恐縮だが、ちょうど先日、80年代後半~90年代前半の『 POPEYE 』がまとめて入荷しており、最近のと見比べながらじっくりと商品化しようと思っている。皆さんも、現在の「シティボーイ」のルーツを知りたくば、ぜひ古書店にてこの辺りのものを探してみて下さい。昔を振り返ったつもりが、もしかすると次の流行を見つけているかもしれません。
さて、蛇足でしかないんだけど、私は『 POPEYE 』と同い年であり、誕生日も近い。自身の40周年は嬉しくもなんともないが、今のような店を経営している事に色々と結びつけたくならなくもない。『 POPEYE 』以降、ドバッと日本にやってきたアメリカ文化が、やはり自分の価値観の多くを支えていると思う。これからもずっと、『 POPEYE 』と共に時代をエンジョイしていきたい。
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