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サングラスの大人な役割Grace & 嘉子 グラスの奥の秘め事。

サングラスの果たす役割はいくつかある。目の色素が薄い欧米人にとって、太陽光の眩しさは僕ら黒い目の日本人とは感覚が違うようで、目の保護の為にもサングラスは必要不可欠なのだ。もう1つ、変装というのもある。スパイ映画で逃げる犯人、追う刑事、2人の顔の4分の1は黒いレンズで覆われいる。目を隠す事で己の特異性を消し去り目的を遂行する。
こんな用途もごくたまに・・。このサングラスをかけた2人の女性、グレースケリーと岡田嘉子。名前を画像検索すると近頃のお隣りアイドルとは一線を画す、崇高なまでの視線ビームを投げかけてくる。そんな目ヂカラブロマイド写真で僕らのモニターは埋め尽くされる。いやー、美しい、恐縮デス。女優は目が命であることを痛感します。しかし文頭のこの写真、せっかくの美しいその目を隠している。気になります、とても。日差しが眩しい訳ではなさそうですし。
このお二人にはちょっとした共通項がございます。女優として一世を風靡した後、通常ではないカタチの恋に落ちてしまったんです。詳しくはウィキって頂ければと思いますがここの場で少々。
これらの写真が人生のターニングポイントを押さえた1枚であることは確かです。グレースケリーは1955年カンヌでモナコ大公と恋に落ち翌年結婚、出産。女優として絶頂期からのシンデレラ過ぎるストーリーに世界中が涌いた。その真っ只中の1956年、妊娠中の身をエルメス製のサック・ア・クロア(このエピソードがきっかけで後のケリーバック)でパパラッチから隠したこの1枚。まさにこれはセレブ・フォトの元祖かもしれません。
そして岡田嘉子。己の恋に燃えロシア越境、恋人の死、ロシアでの自立・・・。写真は亡命後34年ぶりに一時帰国した時のものだ。自分はこのエピソードを関口宏の『知ってるつもり?!』で初めて知りました。タラップから遺骨を抱いて降りて来る1972年の嘉子に心底シビれたのなんの。ロシア的マチ子巻きにこの半透けサングラスのセットですもの。過去の俳優が久しぶりにブラウン管に登場する場合、大概残念気味な結果になりがちだが、嘉子はエピソード負けすることなく想定を遥かに越えて登場した。若き日の女優時代のオーラとは異質の北のヴェールを身に纏い・・・。
そんな美しすぎるお二方ともサングラスのレンズが半透けであることに気付いた自分。私はココよ!とアピールしながらも半透けレンズ越しに50%己をぼかすニヒリズム。土井たか子ばりに『やるっきゃない!』と息巻いて作ったメガネ数知れず。当然、怪しい人にしか見えません。自分に足りない物は何なのか?出会いか?恋か?バイオレンスか?まっ、頭蓋骨のカタチが足引っ張ってる事は薄々感づいてはいるんですけどね。