その展示の内容とスケール感のすさまじさは、とても私ごときのファン歴で語れるものではありませんので、来年日本にやってくる巡回展をご覧ください。ただ私が最も心打たれたのは、展示会場とロンドンっ子が一体となって醸し出す、とてつもなく幸福で、それでいてどこか切ない空気感。ボウイと同世代であろう老夫婦が『スターマン』を口ずさんでいる姿に、彼らが過ごしてきたであろうロンドンカルチャーの激動期を重ねて、胸がぎゅっと締めつけられるような思いがしました。
写真の Tシャツは、そのときに購入した宝物。背中には〝 DAVID BOWIE WATCHING YOU 〟とプリントしてあります。クラシックな洋服が好きな私にとって、Tシャツとは着るものというよりも、青春の思い出を封じ込めた写真のようなものです。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。