資料的価値のあるものは骨董的価値が意外に乏しく、逆にコレクタブルな逸品は新商品開発にはあまり役に立たないことが多いものなのです。故に開発資料目線のショッピングは全く買い物自慢の対象にならないんですよねー。
とはいえ、この冬、一番重宝したのがうちの奥様から誕生日にいただいたこのニット、まぁ強いて言えばこの秋冬購入(買ってもらったですが・・・)アイテムということになります。ウール63%、ナイロン22%、カシミア15%の混率でものすごく特殊な糸染をしております。わたの状態で染色がなされ、それを混ぜすぎないように紡績して糸にしているんです。ロービングと言ってほとんど撚糸(糸をひねらない)していない、最も糸本来の風合いを感じ取れますが毛玉地獄が待っているデメリット付きの技術なんですよねー。
結局着用が進むと、毛質が柔らかく化繊が少ないせいか勝手に毛玉が落ちていくパターンのニットでした。それにしてもこの色、メンズにしてはなかなかチャレンジャーなカラーだと思うんです。70年年代のドラマ『寺内貫太郎一家』で西城秀樹がベランダの物干し場で浅田美代子と白いギターでフォークを歌う時に着てそうな不思議色なのです。
STUDIO NICHOLSONと言えば、ミニマルでソリッドなメンズライクウェアが一般的な認識でこういった曖昧な雰囲気は好まないのかと思っておりましたのでその辺りも意外性のある1着。これを絵画に例えるならば、印象派のスーラ辺りでしょうか??点描表現に通づる、エッジを一切感じさせないモワーンとした緩いカラーリングはモネなんかにも見えなくもない。99%自分のものは自分で選ぶボクなので、このカラーリングはチョイスの視野が広がりました。大変お世話になりました。ありがとうございました。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
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90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。