1つ目はコンフォートな着心地を目指し、各メゾンはストレッチ性の高い生地を使用する様になった。すると裏地が表の伸びについていけないので冬でも夏仕様の背抜きにしてしまった・・この流れ。2つ目は昨今の体作りブームで、自らの筋肉、骨格を鍛え上げることで美しいジャケットの着姿を自己演出するというナチュラルな考え方。肩パットや大げさな胸増し芯で擬似的なマッチョを作ることは今は NG なのです。
となると、重要になってくるのがジャケットの内側をどう見せるか?となるのです。表からの見た目を美しく整えるため、芸術的手まつりを施したり、まさに曲芸のようなパイピングをしたり。見られることが前提のオープンカーの内装や裏スケルトンのリストウォッチと同じ感覚が要求されます。ここで作り手側の力量が試されます。裏地があれば全て見えなくも出来てしまうところ、構造上必要な作業をこなしながら美意識を持って仕上げるのです。
小学生の頃目覚まし時計を分解して復元できず親から叱られたあの頃の『機械の内側が見てみたい!』こんなテンションでパテック・フィリップの技術者もフェラーリのエンジニアも皆内側の構造美を追求している訳です。たぶんこの感覚、女性には決して理解できないでしょうね・・・。
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90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。