Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

雨の日を気持ちよく過ごすアイテムフォックス・アンブレラの傘で ステッキの前哨戦を。

英国紳士。永井荷風。みうらじゅん。内田裕也・・・。生きるジャンルはそれぞれ異なりますが、ステッキを持ったオジサンというのは、確固たる自信と余裕を感じさせていいものですね。私もそんなステッキ野郎たちに憧れるひとりですが、まだまだ分不相応。しかしなにか「機能」がついているヤツなら堂々と持てるのではないかと思い、数年前に手に取ったのが英国王室御用達メーカー、フォックス・アンブレラの傘でした。
ご覧のとおり、ハンドルの先端には堂々とウサギの頭部が鎮座。そのリアリティある描写には、狩猟民族の業を感じさせます。そして日本製の傘とは違い極薄のナイロン生地を使っているため、かなりタイトに巻けるのがポイント。きっちり畳むと、見た目にはまるでステッキです。もちろんその持ち方は傘とは異なり、イメージは石原裕次郎がブランデーグラスを扱うがごとく。ヘッドを人差し指と中指の間にはさんで揺らしながら歩けば、遺憾なく紳士の風格が漂うでしょう。
しかし正直いって機能としては微妙なところです。生地が薄いためか日本の土砂降りには歯が立たず、すぐに雨漏りしちゃいますし、普通のハンドルのように湾曲していませんから、どこかに立てかけたり、引っ掛けておくのに一苦労。駅で切符を買うときなんて、パタパタ倒れて恥ずかしいったらありゃしない。「乾燥機能付き洗濯機」みたいなもので、もはや「傘機能つきステッキ」と言ったほうがよいかもしれません。きっと昔の英国紳士たちも「格好つけるための傘」と割り切って、雨は帽子とマックコートでしのぎつつ、きっちりと畳んだままのこいつを持ち歩いたのでしょう。
この傘をトレードマークになるくらいまで使い倒し、周囲の目と自らの羞恥心を徐々に慣らしていって、50代になるころにはクラシックな3ピーススーツにスカルフェイスのステッキを・・・。私の野望はまだ始まったばかりです。