
買い物を済ませた後、上通りの某館内にある大手セレクトショップに立ち寄った。以前、東京のビームスに在籍した後輩Sが熊本に移住しそこで働いていると聞いたからだ。両手にハンガーの束を抱えてバックルームから出てきた彼は突然の訪問に随分と驚いた様子だった。そのあと鶴屋百貨店を覗いたところ高校の同級生NとMが二人でポップアップストアの準備をしていた。僕の高校時代、25年前にはHelmut Langやベルギーのデザイナーをいち早く取り扱っていた(現在では随分と違う品揃えらしい)ショップで彼らは今働いている。なんだかんだ、皆が熊本の洋服屋で頑張っていた。

帰京後、パックTを開封してみたら背中の部分を留めるために一本のシルクピンが付いていた。そのピンを見ながら、そういえば10年前に後輩Sが仕事帰りで僕の自宅へ泊まりに来たとき、上着のラペルに刺していたシルクピンを部屋のどこかで紛失し、僕の妻に「危なくてしょーがねーよ!」とブチ切れられたことを思い出し、少し笑った。
僕が生まれたころに作られたタートルネックのTシャツは袋の中で畳まれた位置に沿ってうっすらと日焼けの後があったが、もはや純白でなくてもかまわないと思えた。時が移り、場所が変わっても人生は続いていくのだ。














