大きな美術館があまり得意ではないボクとしてはこの手の自宅系美術館がむちゃくちゃツボでけっこうあちこち訪ねております。パリの自邸アトリエならギュスターヴ・モロー美術館、ロダンのビロン館、郊外なら人気のジヴェルニーにあるモネの家とかかな?東京なら台東区谷中の朝倉彫塑館もいいですよねー。何が楽しいって画家の生活感がモロに感じ取れる事。どんな光に包まれて描いていたのか?これが北向き全面窓のアトリエで体験出来る事。そして一番グッと来るのが台所!ここで作って食べてたんだーなんて思うととたんに親近感が涌くんです。当時の食器なんか置いてあったりすると時代考証の資料として骨董好きとしては、最高の勉強になります。今までに、御活躍中の芸術家さんの自宅を、パリ時代に数軒お邪魔した事がありますが、やはり芸術家ならではの独特の美意識で装飾&カスタムされてるんですよねー。何となくなんですが、その人が描いた絵にとって、一番居心地が良いのはその人んちの壁な気がするんです。だってその家の光線で描かれ、そしてその画家が完成とした光の元で見る事こそ、絶対に正解なわけじゃないですか?その環境で描かれた絵は絶対にそのアトリエが帰る家だと思うんです。まさにホームポジション。だから自宅アトリエ開放系美術館が好きなんだろーなーと感じるのかも知れません。さて、そんなフランダースの犬・ネロを魅了したルーベンスさんのご自宅、内部はいかに??
いきなりですがこちら中庭側から建物を見上げたところ。隙間無く装飾で埋め尽くされております。
ここは台所になるんでしょうか?鉄の質感にゾクゾクします。石造りの建物ならではの構造のマントルピースですねー。無造作に置かれた陶器のピッチャーもキュレーションされているのでしょうか?ホントにルーベンス使用陶器なら接写しておきたいところだけど、どうかなー?そして壁各所になんともかわいらしい肖像画が多数。
そして光が印象的なこんな絵も
写真用語で「レンブラント光」というのがあって、斜め45度上空から立体物を照らした時の陰影でドラマ性を演出する照明のあて方のことなんですが、こちらルーベンスも印象的な『照らし出す光』を感じますよね。この薄暗い、ルーベンスが生活した本物の室内で絵を見ると、この重厚さはこの環境から・・・なんてイメージが涌いてきます。外装もそうなんですけど、隙間無く装飾で埋め尽くすこの感じ、もっともっと勉強せねばと思います。日本人、及びファッション業界ってこの20〜30年、引き算の美学追求でシンプルこそ素敵!なんてカルチャーがセンターに君臨しております。このバロック・ロマンのオーバーデコレーションって対極にあるオルタナティブな存在。コレを何とかスノッブに生活の中に切り取れないかなーなんて空想しながら見て回りました。

いやー、むせ返る程のこってり味です。この部屋の光源は当然ロウソク&アルコールランプのようなものしか、時代的になかったと思うんですが、視力とか大丈夫だったのかなー?まあ、住居なのでここで絵は描いてないと思いますが・・・。昼でも真っ暗です。
家具も使う為と言うより、見せる趣旨が重要なんですねー。スゴい。そしてディテールもぬかりなし・・・。

けっこう直線的なのが好みです。この世界にファッション感覚で切り込んだ人、誰もいないしなー。広告写真ならありそうだけど・・・。最後にかわいいお庭がこちら。

外に出ると余りにも眩しいアントワープの初秋の光が満ちあふれておりました。絵は、通常それを引き立てる額縁と言うものに収まっております。でも実はその絵がかけられている壁も作品の一部だと思うんです。空間込みで鑑賞者に染み込ませる、そんな感覚が住居アトリエ系美術館にはあります・・・。ホントにここはオススメです。

















