それは自分で買ったものではなく、父親の洋服ダンスから拝借したものだった。父が若いころ(1970年代?)に着ていたツイード生地、幅広ラペル、二つボタンのもの。うちの父親はプロレスラーみたいに体が大きいので(身長190cm、80kg!)、当時175〜6cmだった僕には着丈も長く、少しサイズが大きかった。それでも90年代半ばにおいてファッションのサイズ感はまだまだユッタリめだったので、なんとか着られる範囲内だったと思う。コーディネートはパッチワークのツイードキャスケットにローゲージのタートルネックセーター、liberty(not英国デパート)のエプロン付きデニムオーバーオールに編み上げブーツ。この上にオヤジのツイードジャケットを羽織ってファーマーズ(農夫)スタイルを気取っていた。17歳。
それから23年後、2018年に僕が購入したジャケットはサヴィルロウの老舗・E.Tautzのジャケットで、大きめのショルダー、長い着丈、低い位置の1Bスタイルにオヤジっぽいブラウンのチェック柄。
脱力フィットのE.TautzチェックジャケットARMANIのようなマスキュリン/クラシックな印象は皆無で、箱型のオフビートなバランス。どこにもフィットしない感じはサイズが合わない父親のジャケットを借りているような雰囲気。BALENCIAGAのトリプルSを筆頭とするダッドシューズ(オヤジっぽいぼってりスニーカー)流行りによろしく、ダッドジャケットといった感じ。
2018年のオヤジジャケットスタイル17歳に戻ったつもりでKIM JONESのナイロンシャツやDuckie Brownのナイロンショーツ、Loakeのラバーソールでスポーティにコーディネート。って、二児の父親(四十路)が何をダッドジャケットだ?リアルオヤジじゃないか!と何処からか声が聞こえてくるので、グランパジャケットということにしておきますか…。














