
YSLのパリコレで、この伝説のプリントが復刻されたのは2007年の事でした。確かサンローランのデザイナーがエディに変わる前の話です。そして、コレクションから数ヶ月後、遂にこのウッドストック群衆シリーズが店頭に並ぶとのインフォメーションを雑誌で見つけた時、即座に表参道のYSL直営店に突撃電話を敢行! 怖いもの見たさでのプライスチェック&あわよくばイケるのか?・・・の確認でした。古着好きにとってこの伝説の音楽フェス、『WOOD STOCK』のフォトシリーズとは、昔からマニア垂涎のコレクターズ・アイテムなんですよね。ちょっとふかん気味の群衆の構図や高コントラストな画像の中から読み取れるなんともフラワーでピースで鳩な感じが、戦争を知らない子供達世代の象徴の様な世界感となって圧縮気味に刷り込まれております。洋服として趣味の良い物かどうかは別として、アートピースとして、今でも我が魂を揺さぶるパワーは十二分にございます。そんな伝説の WOOD STOCK 柄をライセンス契約したのかどうかは分かりませんが、2007年、YSLリヴ・ゴーシュのコレクションにこのシリーズのテキスタイルが組み込まれ、ボクは店頭にそれらが並ぶ日をずっと待っていたのでした。そして冒頭の電話と相成った訳デス。結果、Gジャンでほぼ10万円!ハイ、お疲れ様でした。欧州コレクションブランドの値付けをナメておりました。あわよくば!だなんてね〜・・・。

それから数年後、弊社メンバーでN.Y出張に行く機会がございまして、いつものロウワーマンハッタン、グラウンドゼロ近くの大型アウトレット、『Century 21』にて開店から閉店まで試着しまくりリサーチを楽しんでいた時の事です。実はここ『Century 21』とは、心臓の弱いデザイナーは心が折れまくってしまう、まさに洋服の墓場の様な場所なんです。世界数多のデザイナーズブランドのコレクションピース(モデルサイズのみとか)デザイナーが思いを込めすぎて滑ったアイテムなど、昨今のアウトレット用定番商材で溢れる景色とは異質の、ホントの世界での売れ残り(スゴすぎる故の売れ残り、ワケあり物)が漂流に漂流を経て最後に流れ着く聖なる場所なのです。例えば、10〜15年前、日本でのアウトレット商材としてはほぼあり得ない様な、マルジェラ、オート、メニケッティー、ローレンススティール等のマニアックモード勢達の実験サンプルがメッタ切り祭り・・・こんなことが常だったんです。

この聖なる館に漂着された戦士達には往々にして特殊な縫製、刺繍、プリント、加工等が施してあり、それらには物作りに於いて、極めて高い資料的価値があるんです。ボクらがこの館で過ごす時間とは、おもちゃ好きの子供がおもちゃで満たされたプールに飛び込む様なものでした。平日は朝7時45分オープンですよ!時間の惜しい旅行者にやさしいじゃありませんか!そしてその日も、キワ物洋服の海を泳いでいると、突然目が合ったんです!ウッドストックの群衆達と。やっぱり君もココに流れ着いたか。ボクはキミのサイズ、プライスタグなど全く気にせず、優しくレスキュー ❤ グラウンドゼロのほぼ隣に位置する、聖なる館での平和の祭典 WOOD STOCK 柄との再会とはかなり出来すぎたお話でした。(実話です。)