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STORY

ファッション新造語『グッド・レギュラー』は、言い当ててるけど、根付くかなー??


スティーブン・ジョブスをイメージキャラに命名されたノームコア。この混沌とした「無」の時代を言い当てた、服装史の中でも他に類を見ない倦怠系トレンドもここに来てだいぶ落ち着きましたよね・・・と言うより、もはやその言葉を口にするジャーナリストも皆無となりました。しかーし、ノーム・コア チルドレンのデザイナー達は、なおも進撃を続けていたのです・・・。ここでおさらい、ノームコアの象徴的なアイテムとは、①普通のスエット。②フツーのGパン。③テキトーなローテクスニーカーorサンダル、、はい。さて、このシーンがどのように発展したかと言いますと、
①80〜90年代を懐かしむ感覚がベース
②なので当然ビックサイズ
③別名ヨーロピアン・スーパーカジュアルというテキスタイルやデザイン上でオーバースペック&オーバーディテールデザイン大好き
④てなわけで、元ネタは全て主張が強い系古着・・・。なるほど、なるほど・・・。

原稿を書いている今、まさにパリでは2019メンズ春夏プレタのランウェイショーが行われております。便利な時代になりまして、翌日にはメゾンの全ルックがWEB上に公開されます。
そして気付いたのです。ノームコアを越え、ネクストステージに駒を進めたチーム一様に同じ匂いを感じるんです、ニコラス・デイリー、イートウツ、ルメール、ステラマッカートニーのメンズ、そしてドリス・ヴァンノッテン。ここに挙げたメゾンは上の①〜④に乗っかった、高円寺・下北沢文脈派なのです。ロンドン・パリの最新は高円寺の日常と言ったら言い過ぎかもしれませんが・・・。
ではそんな高円寺のヴィンテージがメインじゃない次世代古着屋さんチームは、ポストノームコアな波をどう呼んでいるかと言うと、それが表題の『グッド・レギュラー』という言葉なのです。実はこれには人により、2つの使い方があって、まだ確定してない新造語。1つ目の意味は、ヴィンテージとありがたがるにはまだ時代の若い80〜90年代の古着で、これから新たな価値に発展しそうなレギュラー(普通な)古着を指す呼び名として。2つ目はもう1歩踏み込んでいて、ボクがamvaiでココ数回書いている「ちょっとダメな感じ」を80〜90年代スタイルから見い出し、フツーな古着や、その時代っぽいコーディネイトの中から猛毒を作り上げる事の出来る、イメージの強いダサい古着を『グッド・レギュラー』と呼んでいる様です。ヴァージル・アブローのストリート感覚なんかも完全に『グッド・レギュラー』の線上に乗っていると思います。ボクも古着の現場を見ていて、この80〜90年代のストリート・モードのダサい感じを言い当てた言葉がちょうど欲しかったんですよねー。根付くかなー『グッド・レギュラー』・・・。
グッドの裏にはバット・テイストな皮肉が確実にこめられての『グッド・レギュラー』。それにしても今、『グッド・レギュラー』を地でいってる東京の古着屋さんの嗅覚ってホントに早いよなー。






Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。