
ノーネクタイ前提のカジュアルシャツの襟元って「目は口程に物を言う」の格言通り、着用者のイメージを思いっきり左右するんですよね。襟は顔の真下にある訳だし・・。
例えば第一ボタンまできっちり締めたナイーヴ Cafe カルチャー代表なら加瀬亮さんとか、ボタン全開ティアドロップ・エロス系代表なら当然トムフォード先生は外せない、とかね。ただ、日本人歴50年のボクとしてはなかなか全開ティアドロップ星人にはなれないので、エロスほどでもなく、決めすぎていない、固めすぎてはいない、通称「ヌケ感の類い」を着こなしの中に探らなくてはならない。
そこで登場するのが、ボクの大好きなゲンズブールの中でも割と晩年目に撮られたこの写真、マルジェラお得意の犯人風、正面・横のポートレイトがある。99%の方はこの人生に疲れたセルジュ師匠のお顔に目がいくと思います。しかーし、ボクは違いました。この襟、襟だったんです!やたら小さくないですか?異常に!!それにこれワークシャツなんです。別のショットで確認しました。ボクは今までアメリカ・ヨーロッパと古着ワークシャツをおびただしい数見て来たつもりでしたがこれに相当するシャツに出会ったことはアリマセン。でも何とも素敵だと思うんです。このさりげなく立ってしまっている襟元のサマが・・・。襟元で着こなしニュアンスを出す場合、いかに偶然を装うか? これにかかっています。狙って行くとバブル期のTVプロデューサーのポロ襟的顛末に陥ります。いつの時代でも完全にアウトです。あくまで偶然に、ヘアメイクの方が最後に毛先をチョイとつまんでニュアンスを出す位に偶然に・・・。
AUBERGE では最高級ベルギーリネン100%ネルシャツポディにその偶然を化学し、要素を盛り込みました。襟芯を吟味し、偶然立ちを叶えるセルジュ形状などなど・・・。
こんなこと気にしながらシャツを作っているのはボクらくらいじゃないかなー。ホントは秘密にしておきたかった製作裏話でした・・・。


















