冒頭、書かせていただいた、ボクの好きな人間らしく、おおらかに縫われた服って両極な2つの意味があるんです。1つはこの Amvai が始まってすぐの頃、シャツのお題の時に触れたナポリのアンナ・マトッツォの手縫いシャツ。ありとあらゆるシームがぷくぷくしていて工業製品感ゼロ!誰かが誰かの為に頑張って作った感半端ないんです。シルエットこそナポリなクセはありますが、こーゆーオーラに包まれて生きていたいと思うんです。もう1つの意味、それはプロじゃ無い人が頑張って作った服。第二次大戦の時の動員でかり出された方々が無理矢理縫ったワークシャツとか、いわゆる刑務所物なんて呼ばれている、服役中に勤労奉仕で縫われたカバーオールなんてもうピカソやバスキアのレベルなんです。計算のない蛇行、とりあえずくっついてりゃいいんだろ?的な自己基準による仕上げ等、どこをとっても愛おしい。憎めない奴なんです。
では、今回のお題、ボクのお宝のベストを見て行きましょう。
着すぎて胸元が先日裂けました。まずこれはもともと1950年以前のムートンで出来たアウターを素人がばらして強引に作ったシロモノ。まずはベースの素材、フライトJKのB3と同時期の独特の40’Sな面持ちで、最高の風合いです。ムートンって内側の毛の生えている側が表で焦げ茶に見える服で言う表側はラッカーでペイントして作った疑似表革なんです。
だから時間と共にパリパリ割れてきます。この朽ち果てるキワの雰囲気もかっこいいんですよね〜ヴィンテージムートンって。脇にはリブを強引に縫い付けています。バイカーの方のセルフカスタムの様ですね。それと、ファスナーが最高なんです。タロンの中でもむちゃくちゃ古いタイプです。コレを叩き付けるステッチがまたひどい!2色のありあわせのミシン糸でテキトーにゴリゴリ縫っています。無秩序です。ボクも脇のリブを少しつまんでマイサイズにカスタムしました。コレを着ていると結構褒められます。人生いろいろ、美しさの基準も人それぞれってことで・・・。


















