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STORY

18世紀フランス陶器にハマり中『キュノワール』編

ボクのこの秋からスタートする新ブランドには、フランスの田舎でヴィンテージなラグジュアリーに浸る・・・なんてイメージがあるものですから、以前から気になっていた18世紀に作られた2つのフランス産陶器をそれぞれディスプレイ用に入手してみました。まず1つ目はフランスの中心から北側で主に作られていた陶器でキュノワールと呼ばれているもの。由来としてはキュがお尻、ノワールは黒、なので黒お尻ってな訳です。


テラコッタの表面に黒(実は焦げ茶)の釉薬をかけ、器の内側にさらに白の釉薬を垂らす。そして焼き上がると焦げ茶×オフホワイトな焼き物が出来上がります。もともと直火にかけるような調理陶器だったようで、結構かけていたりするのも多いんですよね。しかし見所としまして、白い部分に芸術的に入る通称、貫入(細かなヒビ)がホントに綺麗なんです。白と言ってもテラコッタの土の成分がイタズラしてピンクだったり象牙色だったり色々なバージョンがあるんです。ボクのは激レアなミント系!


コレ、結構フランス人は元より、世界中にマニアが多く、玉数も極めて少ないんです。そうそう、写真のシチュー用キュノワールは軽ーく300年は経っております。フランス陶器の面白さはやはり18世紀物なんです。質感フェチのハートを鷲掴みすること請け合いな庶民陶器。この使用感はヴィンテージデニムの味わいに通づるオーラがビンビンにでています。絶対に狙って作れない質感+人間が使った生活感+300年と言う経過した月日・・・・。だって、この鍋使って「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンがポトフを食べてたかも知れないじゃないですか!これ見ながらごはん3杯はいけるボクはやはりマイノリティーなのでしょうか?

あっ、そうそう、この手の器は基本的に花器として使います。こちら鍋なだけに例えば初夏に花ズッキーニなんかを10本くらいドーンと生け込もうと思ってマス。これもフランス的なジョークってなもんです。季節の食花を適した花器鍋で・・・これもエスプリ〜な茶道の心、なのかな〜。

Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。