
この織物は染織作家・木内綾(1924―2006)の創作によるものが発祥で、初めは「ユーカラ織」と表記していたらしいのですが、1980年代に版画家・棟方志功の命名をもとに「優佳良織」と改められたそうです。

ビームスでは Fennica というレーベルで優佳良織の製品を取り扱っています。数年前には北海道にある国内唯一の馬具メーカー・ソメスと協業して、優佳良織ツイードを使ったレザートートバッグを製作しました。L.L bean型の革鞄と油絵のような繊細な絵柄のツイードが、世界中のどこを探しても無いオリジナリティ溢れるコンビネーションを見せています。
http://www.beams.co.jp/brand/900235/
北海道の自然や風土をモチーフとしている優佳良織は多彩な色使いが特徴で、僕のお気に入りはツイードのタイです。
MP di Massimo Piombo のリネンジャケットと優佳良織のネクタイ。大剣幅 5cm 程度に織られたツイードの一枚仕立てです。剣先はフリンジのまま処理され、素材を無駄にしないよう作られています。手織りツイードのネクタイと聞いて「ほっこり感」「おみやげ感」を連想する方もいらっしゃるでしょうか?手織り生地のフリンジ付きネクタイと言えば、かの濱田庄司ですが、彼の世界観こそ「ほっこり」の対極にあると言えます。日本家屋にイームズのラウンジチェア、ですよ?そもそも民芸が本来持っている「研ぎ澄まされた強さ」は、緊張感のあるドレスアップスタイルにもハマるものだと思います。冬場は Alexander McQueen のチェック柄のセットアップやベルベットのスーツなどに、春夏はガサッとしたリネンのジャケットにこのタイを合わせて楽しんでいます。日本では、ここ数年のうちに駅ビルの中でも気軽に「民芸風」を買うことができるようになりましたが、何でも「ほっこり」「かわいい」流行にしてしまうことで、あっという間に消費してしまうのは日本人の悪いクセです。我が家のお雛様は娘に、ネクタイは息子に受け継いでいけたらいいな、と勝手に思っているのですが…。もし息子が成人式に手織りツイードのネクタイをするような大人に育つとしたら、それはそれで、ちょっと心配かもしれませんね(笑)。
ちなみに旭川にある優佳良工芸記念館は諸事情が重なり2016年より長期休館となってしまいました。伝統的なものだからといって、いつでも手に入るというわけではないのです。














