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STORY

世界一美しくも意味深いハンカチ。New York Worlds Fair 1939


このハンカチ(スカーフにしては小判なのでそう呼ぶことにする。)が作られたのは1939年、ニューヨーク万博の時に実際に会場で売られていたお土産用のものだ。

たまたま5年前N.Yを訪れた際、26丁目のガレージフリマで購入した。そのブースは1950年代の日本製シルクスカーフ専門で当時横浜で刷られていた輸出用の物。その山の中にこの1枚が混入しているものを買う事が出来たわけだ。

実はこのハンカチはとてもコレクタブルな物で、30年代の布製印刷物としても鑑賞に耐えうるコンディションをキープしている。ヴィンテージ・ハワイアンシャツコレクターやアメリカン・デコ コレクター、などなどその筋の書籍には必ず登場する名作図案といったところ。

もう1つこのハンカチが作られた1939年という年も極めて重要で、38年日中戦争開戦・41年第二次世界大戦勃発という世界中に緊張が走りまくっている中での博覧会なのである。日本もしっかり参加しているがハンカチの縁の参加国名には入れて貰えていない。スペイン館に至ってはシュールレアリストの雄、サルバドール・ダリが異次元の展示を館ごとプロデュースした。多少のハリボテ感はあるもののレイモンド・ローウィー的なUSアールデコ&レトロフューチャーのイメージを70年後の現在から見直しても楽しむ事ができる。

このニューヨーク万博の公式入場者数は3254万人と言われている。しかし、2年後の41年に勃発した第二次世界大戦では入場者数とほぼ同数の4000万人の尊い命が失われている。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。