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STORY

僕らが靴を履く理由/雪の日の場合

1月の大雪もまだ溶けきらない2月の某日。この日の予報も「雪」で、前日の夜から降り始めた雪は朝になると屋根や道に積もり始めました。内心「またかよ、電車遅延してたらやだな…」とか思いながらも、どうせなら雪の日ファッションを満喫するしかない、ということで引っ張り出したのは10年近く前に購入した Le Chameau (ル シャモー)のレインブーツ。天然ゴムを使用した柔らかな履き心地、職人がハンドメイドで削り出すラストを使用した美しいシルエットがお気に入りですが、台風や大雨でもない限り滅多に履く機会がありません。チャンス到来、とばかりに緑色のブーツに足を突っ込んで雪道を踏みながら出かけました。

 
アウターは昔デッドストックで入手したフランス軍のレインコート。そこそこ普通に手に入るものですが、高密度ナイロン素材の表地に中綿入りのライニングが付いて、撥水性・防寒性ともに申し分無し。くすんだグリーンのトーン・オン・トーンで Le Chameau のブーツとも好相性。とはいえ機能性、合理性だけを追求すると色気も何もなくなってしまうので、コートの中には MP di Massimo Piombo のスリーピースを着て行くことに。ブラウン×ホワイトのドッグトゥース柄のスーツに合わせたのは Marcel Lassance のカシミアタイ。こちらもドッグトゥース。雪の日に喜んで庭を駆け回る動物は?答え、犬。ということでドッグトゥース祭り(嘘)。

 


更なる防寒対策で Hermès のキルティングベストをオン。モスグリーンのトリミングがレインブーツと偶然のマッチング。フランスもののグリーンには独特の高貴なムードがありますね。余談ですが、街で初めてファッションとしてレインブーツを履いたのは熊本の伝説的バイヤーA氏らしいです。長靴を履くのは田植えの時と相場が決まっていたであろう40年前の熊本の、しかも繁華街で AIGLE のレインブーツに乗馬パンツを履いた人がウロウロしていたら、一般の人はさぞ「たまがった(ビックリした、度肝を抜かれた)」ことでしょう。


 
話を戻して…。「雪の日にスーツなんて堅苦しいよ」と思われるかもしれませんが、実はこのスーツ、グニャグニャのストレッチツイード素材。こういう品の無い素材使い(?)を平気でやるあたりも Massimo Piombo の独特なテーストです。あまりドレッシーになり過ぎないよう、シャツは洗いざらしのものをチョイス。ということで、それなりのオシャレ感を KEEP しつつ「なんなら店の前の雪かきだってやっちゃうよ?」というぐらいアクティブな機能性を兼ね備えたスタイリングで出社。いざ、原宿。って店に着いてみたら地面はビショビショ。特に雪が積もっているわけでもなく、昼過ぎには雪混じりの雨もすっかり上がっていました。結果として、いつも通りの店内で長靴を履いたまま元気よく「いらっしゃっいませ」と仕事に励んだ僕。でも、いいんです。お気に入りのレインブーツを履くためには「雪」という口実が必要だっただけなので。

Satoshi Tsuruta

International Gallery BEAMS Staff鶴田 啓

熊本県出身。1978年生まれ。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻にまったく興味を持てず、飲食店でアルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。新宿・ビームスジャパンのデザイナーズブランドを中心に扱うメンズフロア(当時)に配属となる。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動し現在に至る。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆まで手がける。ワードローブのモットーは「ビスポークのスーツからボロボロのジーンズまで」。趣味は音楽・映画・美術鑑賞、旅行、落語、酒場放浪、料理、服。二児の父。