まずリチャード・プリンス。彼は2015年、他人のインスタ写真を借用し、自らのコメントを添え紙出力して『 New Portrait 』と銘打った展覧会を行い物議を醸した。彼は元々高濃度のアメリカンモチーフ(マルボロの看板や金髪女性のエロ投稿写真等)の写真を、荒い粒子の写真で撮るという作風であり、彼の「マルボロの看板を写した写真」は2005年、人類のオークション初、1枚の写真作品で1億円を越える値を付けるに至っている。そんな彼が現代 SNS 上のお宝匿名写真を放っておく訳も無く、世の中はリチャードの炎上写真展に完全にしてやられた。ナントその作品群??に1枚最高で約1千万円の値が付き即完売という結果をもたらしたのだ。アートに於ける著作権、肖像権という概念にアンチを投げかけ、世論はリチャードに味方し、勝利した瞬間だった。
一方、ホンマタカシは『ニュー・ドキュメンタリー』と称したコンセプチュアルな展示を行った。それは、あるイタリアの未亡人女性を撮影して、その写真の周りに彼女の旦那や家族、若き日の1コマなど当然ホンマが撮った物ではない、古い写真をコラージュするものだった。写真家ホンマのプロショットと家族間の記念撮影的自然体ショットとを対比させ、未亡人のシワの1本に意味を感じさせるのが狙いなのであろう。このホンマタカシの手法はファウンドフォトと呼ばれ、新たな写真の表現手段として同時多発的に始まっている。このファウンドフォトの本来の意味としては、蚤の市などで山の様に売られている素人が撮った写真(既成写真、レディメイド)を見続け、その偶然の出会いから意味を見出し、新たな価値を吹き込む。写真家は撮影者ではなくキュレーター、ファウンダーとなり写真集を編纂する・・・そんなイメージなのだ。

ボクはこの1〜2年、このファウンドフォト手法をファッションに転用出来ないかと試行錯誤していた。例えば、先程のホンマタカシのプロショットを新たに作る服とする。そしてそれを日本最高峰の工場で、プロの技を持って美しく仕上げる。かたや、雰囲気満点の荒々しい古着を自ら作成しないファウンドフォトに例え、ヴィンテージ感が倍増する様なチューンを施す。そして、このビューティー&ビーストのミクスチャーで欲しいイメージに近づけコーディネイトする・・・。この手法であれば2人の写真作家の新表現にファッションサイドから少しでもアプローチ出来るのではないかと思うのだ。2018年、ボクはこんなブランディングを考えております。そして新たなチャレンジとして実行して行く所存なのです。
ボクは元旦のラジオ番組でビームスさんの新年の訓示を聞き感銘を受けました。それは
『 Think Different & Just Do It! 』
クスッと笑みが込み上げて来た直後にじわっと来るんですよね。2センテンスが繋がった時の意味の深さが。ホント、前に進み続ける為には、柔軟な発想の実現をまさに『今』やるしかないですよね・・・。
本年もよろしくお願いいたします!!

















