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STORY

やっぱりスゴい! 『リーバイス ビンテージ クロージング 1880's XX ウエストオーバーオール』


いやー、いつ出るか?出るかと思ってましたが9年ぶり!本格的な501の原型となったレジェンド・デニムが先月の10月12日、遂に発売されたのです。その数なんと世界限定300本!ボクが新宿のリーバイス直営店に問い合わせした時は既に遅し、決着はとうについておりました・・・。秒殺完売・流石です。なので実は現物のデニムをみることすら出来ていないんです。見たかったなー。だって生地は、かのコーン・ミルズ社の全面協力ですものね。きっと完成度はハンパないはず。そんなコーン社にバトンが渡ったのは1900年代入ってからで、コーン社はロープ染色機を使ってリーバイスの生産効率を大幅UPの立役者ってことになってるんです。だから本来1880年モデルの復刻であれば、アモスケイグ社が行っていたロープ染色以前の生産技法でないと意味が無い気がしますが、もう存在してない会社なのでそれは叶わぬ夢。しかし、1800年代末からの社歴のあるコーン・ミルズ社も当然、ロープへ移行する過渡期を原体験されている訳で、そのノウハウが注入されるであろう今回の企画は素晴らしいと思うんです。さて、どうやってアメリカでは『あの問題』を解決したのか?あの問題とは、ボクが当サイトで半年近く書きまくったロープ染色法を使わずに表面だけインディゴ染色する秘密のコト。ボクらチームamvaiは徳島で実験に成功しましたよ。ロープ染色機を使わず手作業の染色で着用すると白くアタリの付く中白染をね・・・。

(写真はamvaiデニムの織り糸が天然インディゴで染め上がった物です。)

さて、レジェンド・デニムの日本語での情報公開では

「1880's XX ウエストオーバーオール」は、「501」の原型モデル。カウボーイや農家など、1880年代当時のアメリカ西部の開拓者達が着用する、ユニフォームのような存在であった。今回の復刻に際し、アーカイブの中でも最も初期に使われた、荒仕上げの生地“ラン・オブ・ザ・ミル”をコーンミルズ社とともに再現。天然インディゴで染色し、後処理をしないで生産される生地だ。(広告記事より抜粋)

ボクらの至った結論からすると、染める前に秘密の全てがありました。それは後処理じゃなくて前処理なんです。染めた後の後処理って防縮加工や斜行ねじれ直しなどがありますが、当然そんなことをするはずがありません。それ以外だと何があるのだろうか?ボクには解りません・・・。いやはや、1880年代製を決定づけるアメリカでの生地プロダクト(ラン・オブ・ザ・ミル)に興味は尽きません。

我がamvaiデニムも製作時、とても悩んだんです。1800年代手法は得たものの、そのアメリカ的な創作物はリーバイス社なら意味があっても日本で作るボクらが真似ても何か違う気がしたんです。なので織り糸の芯まで染め抜く日本古来のかせ染めに固執し、藍色の美しさにこだわった1本にするとボクらは決めたんです。だから同じ様なレトロな手法での再現プロジェクトに対し、コーン・ミルズ社の出した答えが見たいんです。きっとアメリカンスピリットが垣間見えるはずですから・・・。

Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。