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STORY

古着解体新書シリーズ第2話 映画『タクシー・ドライバー』謎解き編。


不器用な男トラヴィス。親の時代の服を着る。



最新モードを着こなし華麗に仕事をこなす選挙事務所のベッツィー&トム。


トラヴィスの憧れ『 COMBAT! 』のヘンリー少尉、タンカースを着こなす。


映画『タクシー・ドライバー』に於けるタンカースブルゾンはこの映画の為に作られた製作物で製作数3着だそうです。詳しい方より情報をいただきました。ありがとうございます。
やはりそうでしたか。エンドロールには衣装関係の肩書きでcostume designer AUTH MORLEY とあります。この designer という言葉をあえて名乗るところにそれぞれの衣装には布石、意志のようなものが込められているに違いありません。
トラヴィスはテロリストに変化する前はタンカースでなければならない理由があるのです。それはなぜか・・・?
映画『タクシードライバー』に於ける衣装には、トラヴィスのキャラクターを際だたせるために2つの比較軸があるように思う。


最新ファッションで華麗に仕事をこなす選挙事務所のベッツィー&トム
VS 生きるのに不器用な30年前のジャンパーを着たトラヴィス


運転手トラヴィスのタンカース
VS モヒカン突入時の M65-2ND

トラヴィスの変身前とは、つまらないジョーク、ろくにデートも出来ない、真面目、正義感、思い通りにならない苛立ち・・。このイメージにタンカース着用のスタイルに被せている。
じゃあタンカースとは何なんだ?となると答えは1つ、爆発的にヒットしたTVシリーズ『 COMBAT! 』のヘンリー少尉だ。戦いに大義名分があり、その後の輝かしい50年代へのきっかけとなった WW2ヨーロッパ戦線でのブラウン管内のヒーローだ。
1976年トラヴィスは26歳 デ・ニーロ33歳、スコセッシ34歳、ちょうど62年~67年放映のこのドラマを見ていただろう。気弱な少年の憧れ、正しい理由のある戦争、そのヒーローたちが着ているのがタンカースJK なのだ。
つづく。

>>古着解体新書シリーズ第3話 映画『タクシー・ドライバー』トラヴィス覚醒へ。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。