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STORY

2つの世界を仕切る窓。

画家にとって室内のディテールを描く場合、窓はもの凄く大きな意味を持たせる事が出来るパーツだ。1枚のキャンバスに2つの世界を表現するシースルーのパーテーションというように。自分の暮らすこの部屋の中は狂気と混沌に溢れているが、窓の外は逆に希望に満ちあふれている・・・とまあこんなイメージかな。なので自分も旅先では出来るだけ窓の写真を撮る様にしている。窓枠を額縁に見立てたり、ガラスの映り込みを狙ったり。海外のボロ・ステュディオ、モーテルの類いはドラマ性に満ち満ちているので、自分がどの位その素材を生かせるのか?これは自分との戦いなのだ。
マチスも結構な割合で絵の中に窓を描く画家。幾重にも戦時をくぐっているので窓から外の風景が暗示的メッセージだったりするらしい。内と外、2つの世界を意識しながら絵画や写真を鑑賞するのは謎解きに近いスリルがあり、実に楽しい。


Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。