
愛車ルノーキャトル のブレーキ周りから異音がするので整備も兼ねて主治医に預けるとチェーンテンショナーという自転車にも付いている様な動力を伝えるチェーンの張力を一定に保つゴムとバネと金属でできたヤフオクで数千円で売っている程度のパーツを交換する羽目になったのだがそれがエンジンの下部それもオイルパンスレスレの位置に鎮座しているせいでエンジンを下さねばならずこの瞬間に15万確定!!さらに主治医からはどうせエンジン下ろすなら細かなゴムパーツなんかもついでに交換するといいよ気になるパーツがあったら変えておこうか?なんて目隠しジャンケンのような事を言うもんだからおっかなびっくり予算は??なんて聞いてみたら30くらいかな〜なんてちょっと耳を疑う数字がボクの鼓膜を震わせた・・・これが俗に言う旧車のヤマってやつで涼しい顔をして幾つものヤマを越えエベレストを越えて初めてオトコは男になるチョ〜下らない修行&試練に自分の堪忍袋とお財布がどこまで耐えられるかを自問するドMなゲームなのだ。同志達ははそれを豊かな人生艶のある生き方と呼び主治医からの運命の宣告を固唾を飲んで待つのである。
こんな感じで先週日曜日の昼下がりの衝撃を80年代、村上龍の一息文体でまとめてみました。
厳しい状況下でも楽しいことはある物で、修理の為に車を預ける場合、代車という代替え車を無料で貸してもらえる。これにもパターンがあって、高級ディーラーならば、あえて最新モデルの試乗車なんかを当てがってくる。下心見え見えだが、むせ返るような革臭漂う最新を擬似所有出来るのはそれはそれで楽しいものだ。また、エンスー系中古車屋であれば、お客さんからの下取り車で生命を危機にさらさない程度の整備を施したどうでもいい車種が飛んでくる。今回はこの後者の方でシトロエンの10年落ちのC3であった。まず自分では絶対に買わないであろうデザイン、色の個体を半ば強制的にあてがわれるこの代車ガチャは実に楽しいものなのだ。自分という人間がこんなものに過剰に反応するんだ〜とか、自分にとって、絶対に許したくない色、デザインが代車と過ごす日常にどんどん溶け込んでいって、最終どうでもよくなっていく瞬間とか、じゃあ、あのコダワリと賭けてきた経費は何だったんだ!?なんて自問したり・・・。毎回どーでもよい代車は数々の気付きをボクに与えてくれるのだ。
さて今回のシトロエンC3, 最大の収穫はAMラジオだった。壊れていてFMならインターFM, AMなら810の在日米軍横田基地向けのAFN しか入らない。しかしこれが絶好調なのだ。フランス車に標準装備されているオーディオスピーカーのクオリティーの酷さは伝説的で、場外馬券場の紳士達が耳にへばりつかせて聴いているあの小型ラジオのクオリティーまんまなのだ。だがこれが実に良い。70年代ロックからスタジアム系マッスルロックまで、まず日本人が選曲しないであろうコアなアメリカンロックを場外馬券クオリティーで聴くのだ。音楽にピュアなイマジネーションを求めて数千マンのハイエンド沼に突っ込む輩もいれば、ボクのように12センチ径のペーパーウーファーでノスタルジーに深く浸れる者もいる。不都合の中に潜む快楽は二乗倍に身に滲みたりするものだ・・・。


















