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STORY

XXデニムに挑みます!part2

只今、岡山出張より自宅へ戻って参りました。いやー、今回は凄かった。お伺いしたテキスタイルメーカーさんの技量があまりに業界内でも突き抜けているので、打ち合わせ自体が最高のエンターテイメントと化しました。例えばこの写真のビングクロスビーjkの1インチ間の織糸の数を専用ルーペでカウントする日本綿布の鳥羽部長!
質問に対する答えには創業1917年以来の重みと経験値がずしりと鼓膜に響きます。部長解説付きの工場設備の内部見学の時などは兼ねてから疑問に思っていたリーバイス ・アモスケイグ期のロープ染色特許前の生地作りの考察やXXデニムのムラ形状の秘密、織り密度の話など、テレビ番組じゃないけど、これはまさに世界一受けたい授業といったところ。恥ずかしながらボクは小学生の質問ラッシュのような状態になってしまいました。そんなボクが個人的に一番刺さったポイントは、鳥羽部長のビングクロスビー分析が極めて冷静で私見を挟まず、事実のみをひたすら羅列する語り口!ココでした。LEVIS VINTAGE LOVERが3人集まると、こんな40年代のデットストックがあった日には目がハートマークになってしまい、ひたすらこの個体を神格化&やっぱいいっすね、コレ!っとまあこんな軽い感じの感想を言い合って終わってしまうのが関の山なんです。この1着が絶対的な神であることは確定してる訳だし、本物であれば盲目的に愛を注ぐチャンネルに自動的に入ってしまうんですよね〜 LOVERは。
なので部長のクールなXX分析は極めて理論的で聞き入ってしまうんです。あえてヴィンテージXXデニムが凄いというスタンスを前提に置かず、同じような糸番手、打ち込みの標準的な国産耳付きデニムと並列に比較して何が違うのかを浮き彫りにしていく解説なんです。
というわけで、日本綿布・鳥羽部長の元にAUBERGEとして希望するXXアイデアの全てを注入した依頼を置いて帰ってまいりました。12月中頃には試織が上がる予定です。持ち込んだ時価評価価格100万超えのビングクロスビージャケットは日焼けした横糸再現のために現場に託して参りました。1947年製XXデニムのAUBERGEバージョン、2022秋冬にお目見えいたします!乞うご期待!!
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。