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STORY

世界一幸せなGジャン、SIDE A。

ちょうど半年前、業界の最大手2社が個性を持ち寄って何か面白い事が出来ないか??そんな現場同士の軽いきっかけから今までに前例のない同業者同士の協業、すなわち新宿伊勢丹メンズ館のやかたの中でビームスFチームがポップアップを行うと言う前代未聞のプロジェクトが水面下で持ち上がりまして、双方にお取引のあるAUBERGEとして、嬉しい参加のお声掛けを頂いたのでした。第一回目の顔合わせ会議の中、3社コラボアイテム・・・小林さん・・・フランスっぽいGジャン!!!と全会一致でアイテムは瞬時に決まり、パリの芸術サロンで言うところの無監査出品、まずはフリースタイルで1着作り2社にプレゼン、そして3社で確認と、こんな感じでコラボアイテムを進めさせていただけることに。コンセプトを全任いただけるのはとても作りやすく、フレンチGジャンといえばの大ネタが1つ、実は、いずれ世に放ちたいと思っていた1着があったのです。それは1972年8月セルジュゲンズブール、ジェーンバーキン、まだ1歳のシャルロットゲンズブール、そしてジェーンの連子のケイトバリー・・・この4人で過ごしたサントロペでのバカンス中にセルジュがいまだかつてみた事もない謎のgジャンを着ているのでした。それは70年代特有の大きな丸襟、エディスリマンを凌ぐ超タイトフォルムは当時のグラムロック、マークボランやデヴィッドボウイの影響か?袖口にはピーコートの様なタブが付く。前合わせからして一応はメンズの様だ。いわゆるリーバイス 、リー、ラングラーではないストアブランドの類の亜種と思われます。もう本当にナイスな1着なんですよねー。写真から全体の雰囲気、ディテールを頂きながらも フランスデニムブランドのCHIPIE育ちのボクといたしまして、アメリカンブランドはまず存在しないフレンチブランド特有のフロント&内ポケットの作りを機能的に盛り込み、全体のシルエットも今の時代に呼応する洗練を加えました。でも最も大切にしたかったのが、ブランドを全く感じさせないこの感じ。これこそフレンチファッションの真髄、ノンシャランの最終到達点だと思うんです。セルジュ的な着こなしって、まずは己の貫く道、スタイルがあって、服は所詮添え物、俺が俺らしくあり続けられる1着であれば、そこにブランドはいらない、逆に無銘の方がイイんですよねー。そしてこの72年のサントロペ、本当に幸せ絶頂期だったんだろうなーと思しきスチール写真が多数存在します。セルジュとバーキンの出会いは69年。その3年後、1歳になった71年生まれのシャルロットを連れての初の家族旅行・・・・。子供をあやすセルジュ、母の面持ちのバーキンと普段の切れ味のあるファッションポートレイトでは見ることの出来ない笑顔に満ち溢れたサントロペ。そのヴァカンス中、セルジュがずーっと着ていた1着のGジャン。世界一幸せなGジャンであることに疑う余地はない・・・・。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。