古来より日本人に親しまれているこの歌は、決して文字遊びの為だけに酔狂で作られたものではなく、ミニマルな47文字にきっちりと仏教の概念が盛り込んである意味でも驚くべき完成度を誇っている。
「色は匂へど 散りぬるを=香り豊かで色鮮やかに咲き誇る花も、いずれは散ってしまう」「我が世誰ぞ 常ならむ=この世に生きる誰しもが、永遠ではない」「有為の奥山 今日越えて=無常の迷い、その奥山を今乗り越えていけば」「浅き夢見じ 酔ひもせず=儚い夢を見ることなく、仮想の世界に酔うこともない悟りの心境に達することができるのに」
43歳にして、まだ奥山の深くで迷い続けている僕は、いつか悟りの心境に達することが出来るのだろうか?うろうろと彷徨う薄暗い山道の中で、鮮やかな色だけが僕の目印になってくれている。たとえそれがファッションという名の、常ならむ光だとしても。
1978年生まれ。熊本県出身。10歳の頃に初めて買ったLevi'sをきっかけにしてファッションに興味を持ち始める。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻に興味を持てず、アルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを本格的に決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆などを16年間にわたり手がける。2021年、22年間勤めたビームスを退社。2023年フリーランスとして独立、企画室「NEJI」の主宰として執筆や商品企画、スタイリング/ディレクション、コピーライティングなど多岐にわたる活動を続けている。同年、自身によるブランド「DEAD KENNEDYS CLOTHING」を始動。また、クラウドファンディングで展開するファッションプロジェクト「27」ではコンセプトブックのライティングを担当し、森山大道やサラ・ムーンら世界的アーティストの作品にテキストを加えている。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。