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STORY

『PARKER DUOFOLD ✖️TIFFANY&Co.』ボクの絵を描く道具、ボールペンについて。


弊社展示会が間近に迫ると、ボクにとっては恒例の1人全型お絵かき大会が始まります。うちのスタッフ上田が管理用のハンガーイラストをディテールまで結構細かく描くので、その絵を参考に一押しディテールを強調したり、お伝えしたい雰囲気をオンする等、分かりやすく仕上げてまいります。この作業を行う事で展示会本番の商品説明文言を頭も中できっちり整理できるし、ギリギリでトッピングしたデザインなんかも確認できるので、とても大切な時間なのです。実はこのお絵かきを遂行する上で、どうしても譲れないポイントが2つございまして・・・1つ目はテンションの上がる筆記具で描くこと。そしてもう1つ、気持ちのよい、速度の上がるペン先を用意することなのです。
皆様はご存知でしたでしょうか?素敵なブランドのボールポイントペンはインクが通常リフィルと言って中身ごと取り換えるのが主流なんですよね。ってことは、テンションが上がるペンとは胴体部分のブランドとデザインのことであり、次の書き味を左右するペン先とはどのブランドのリフィルをお気に入りの胴体にぶち込むか?そういう意味なのです。なので海外の超有名ブランドの本体に日本の高性能インク・リフィルを仕込んだら、素晴らしい書き味は日本の手柄??になってしまうんですよねー。
90年代、フランスのアパレルメーカーに在籍していたボクはフランス出張の際、日本の文具を携えていくと現地スタッフからはそりゃもう大人気で、特にボールペン、ホチキスは羨望の的でした。当時、出始めの低反発インクってやつですね。BIGボールペンのお膝元に日本のゲルインク・・・通常の油性インクと比べれば減りが早いのと黒の濃度がイマイチな点はあれど滑らかさに勝ものなしで日本製に軍配なのでした。ただやっぱりペンを持った瞬間のテンションアップを思うと海外製品のお色気っぷりは余りに圧倒的。事務的、工業的デザインに徹した日本製の胴体とは戦うフィールドが違うのでした。
例えば最近調達した、このUKメイドのパーカーデュオフォールド✖️ティファニーに至ってはベルサイユ宮殿の如きグロさを秘めております。1930年来の伝統的デザインにちょっとチープなロマノフ王朝を思わせる金の冠がついたこの逸品、とてつもないパワーを感じます。歴史と伝統を下品に飾り付けたようなこの上ないバットテイスト・・・コレぞ舶来!INPORT!!!
と言う訳でボクの左手には、ベルサイユ宮殿にロマノフの王冠を被せ、中には三菱uniのリフィル、ジェットストリームを仕込んだ象牙色の剣で、今宵も描きまくりでございマス。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。